ウォルマートも済南店舗1軒閉店 外資系3社目、風土合わず?
提供:中国新聞米小売りチェーン大手、ウォルマート・ストアーズは今月中旬、山東省済南市に2軒ある店舗のうち1軒を閉店した。タイ系正大集団傘下の大型ショッピングセンター「易初蓮花」と英小売り大手のテスコに続き、済南市の外資系スーパーマーケットとしては3社目の閉店で、消費者や専門家の間で「外資系スーパーは中国の風土に合わないのではないか」と議論を呼んでいる。
商業配置を最適化
済南市の繁華街に位置するウォルマート泉城路店を訪れたところ、(麺や中華まんなど)粉食の軽食や、調理済みの肉製品の店頭販売コーナー面積が小さく、商品の種類も少なめ。衣料品売り場には約300平方メートルを割いているが、衣類を買いに来る消費者は多くない状態だ。
今回閉店となった同市槐蔭区にある店舗(陽光新路店)は開店から5年。閉店前しばらくは商品の補充を停止し、店内の陳列棚はまばらだった。ウォルマート山東エリアの責任者は閉店の理由について「商業配置をさらに最適化するためだ」と説明した。閉店後、同社の山東省内の店舗は7軒。他の地域では、江蘇省24軒、浙江省30軒、広東省67軒、河南省6軒、河北省8軒、山西省6軒となっている。
山東省の地元メディアは「外資系スーパーは済南でやっていけない」「数万人が暮らす社区(団地)に隣接するのになぜ経営難なのか」「済南から敗退する3社目の外資系スーパー」といった見出しで今月上旬、関連ニュースを伝えていた。
市内に住む専業主婦の耿玉晶(こう・ぎょくしょう)さんは「ウォルマートは地元になじまない面がある」と指摘する。ウォルマートでは山東人が好きな粉食や調理した肉、冷菜などはあまり扱っておらず、パッケージ食品やチルド食品が多く、新鮮な食べ物を求める消費者のニーズとはかけ離れていると話す。
市内の台湾系スーパー「大潤発」の店舗にはウォルマート泉城路店の約2倍の買い物客が来店しており、食品や日用品のエリアはとりわけ混雑していた。
一方、ウォルマートを愛用しているという若い女性、馬瑶瑶さんは「ウォルマートは本物のスーパーだ」と認識している。取り扱う製品やブランドの種類は多彩で、高品質な品物が手に入る上に「視野を広げることができる」からだ。
“単独戦”打撃に
ウォルマートは“中央集権”方式の管理モデルを実施しており、世界各地の店舗は基本的に統一された入荷基準を守っている。このため各地の固有のニーズは忘れられがちだ。
山東大学経済学院の李鉄崗教授によると、省都である済南を含め、山東省内の多くの地域の経済・社会環境は比較的閉鎖的で、ウォルマートの経営理念が競争力として十分機能していない状況がある。
スーパーの競争が激しい同省ではローエンド路線を採用する企業が多く、品質はふぞろいだが価格の安さで消費者を呼び込んでいる。こうした経営方式は「公平な競争をうたう国際基準と合致しておらず、長期的には地域の商業の発展にとって不利となる」と李教授はみている。
大連万達集団の「万達広場」や世茂集団の「世茂広場」など商業不動産業者の開発による総合商業圏の攻勢も、“単独での戦い”を強いられる外資系スーパーにとっては打撃だ。これらの商業圏は第3次産業が豊富でない地域に集中しており、独占的で、業界の多様性や競争性を抑制する傾向がある。
李教授は「ウォルマートの閉店は重量級のニュースではないが、外資系スーパー撤退の現象は地域経済の持続可能な発展に影響する消極的要素であり、社会がより注目すべき問題だ」と語った。(中国新聞社)
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