AIIB参加100カ国へ ADB上回る見通し 中国“陣取り外交”で日米牽制

 

 中国主導で57カ国が創設メンバーとなって設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の参加国数が、年末までに100近くに増える見通しになった。日本が最大の出資国で67カ国・地域が参加するアジア開発銀行(ADB)を一気に追い抜く勢いだ。AIIBを実質的に管轄する中国は、国際金融機関の参加国数をめぐって“陣取り外交”を繰り広げ、AIIBへの参加に否定的な日米を強く牽制(けんせい)する狙いがありそうだ。

 中国英字紙チャイナ・デーリー(電子版)が1日までに金立群AIIB総裁の発言として伝えた。新たに約30カ国が参加表明しており、年内にも加盟が決まるという。国名は明らかにしていないが、中近東やアフリカの国々とみられる。

 今年1月に業務を開始したAIIBは6月25、26の両日、北京で創設57カ国が参加して第1回年次総会を開く予定で、追加メンバーの承認についても話し合われる見通しだ。

 中国とは異なる地域として、香港も承認される予定だ。ただ、台湾は、中国財政省を通じて加盟申請する必要があるとする中国に反発し、「中国の一部としての扱いならば尊厳を損なう」として参加を断念しており、自国だけの政治的な主張を、国際金融機関に持ち込んだ中国に批判が集まっている。

 AIIB参加に日米両国はなお否定的。だが、中国の元財政次官でADB副総裁も務めた経験をもつ金総裁は「近く日本人をAIIBの幹部に任命する予定だ」とも発言した。既にAIIB事務局幹部に米国人も採用しており、日米の切り崩しを狙っている。

 先月開催された主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、AIIBに参加している英独仏などが、対中圧力で日米と共同歩調に転じたことに中国は反発を強めている。一方、9月に浙江省杭州で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の舞台で、中国は議長国として、先進7カ国(G7)を牽制しながら、AIIBの豊富な資金供給で新興国を引きつける演出を行うものとみられる。(上海 河崎真澄)

 ■アジアインフラ投資銀行(AIIB)とアジア開発銀行(ADB)の概要   □AIIB

 メンバー数 57カ国

 設立年   2015年

 資本金   1000億ドル

 最大出資国 中国

 本部    北京

 総裁    金立群・元中国財政次官

                   ◇

 □ADB

 メンバー数 67カ国・地域

 設立年   1966年

 資本金   約1500億ドル

 最大出資国 日本、米国

 本部    マニラ

 総裁    中尾武彦・元財務官