熟練農家の栽培技術、知財で保護 農水省と慶大が指針策定

 

 農林水産省と慶応大が、熟練農家の栽培技術を知的財産と位置付け、権利保護の指針を策定したことが6日、分かった。情報通信技術(ICT)の活用で施肥など生育管理のノウハウをデータ化し、産地の生産性向上を支援するビジネスが広がり始めていることに対応した。生産者の技術を適切に保護して収入増を図る。

 農水省の補助事業として慶応大の神成淳司准教授が中心となって検討会を開き、取りまとめた。近く公表し、農家とデータを利用する事業者との契約の際に活用を促す。

 高品質な農産物を生み出したり、収穫量を上げたりする熟練農家のノウハウは、以前はまねをするのが難しかったが、最近はICTの発展で温度や水の管理、施肥、防除の回数や時期などをデータ化することが可能になった。これらを他の農家や新規就農者に提供することで、作業の円滑化や作物の品質向上を支援するサービスが始まっている。

 指針では、こうした技術を「新しい知的財産」と定義。熟練農家が正当な対価を得られるようにすることが重要とする一方、過度な保護により事業の普及が妨げられないよう配慮が必要として、両者の契約での留意点を明記した。

 具体的には、熟練農家が権利を知的財産として保護する場合、栽培ノウハウを「営業秘密」と位置付け、文書によって特定する必要があるなどと指摘。ライバルの産地や外国への情報流出を制限したい場合は、データの提供範囲を明確にしておくよう促した。

 熟練農家が受け取る対価に関しては、データ利用者の売り上げの一定割合とする方式や、一定期間ごとに定額とする方式を想定。事業の形態を見極めて規約を設定する必要があるとした。サービスの利用者が栽培技術に改良を加えた場合、知的財産権の帰属をどうするかは当事者間で別途、協議するなどと解説した。