社民党・吉川元政審会長

2016参院選 経済政策を問う!
吉川元政審会長

 ■雇用・賃金、子育て・教育の質向上を

 安倍政権は一億総活躍プランで、昨年度500兆円だった名目国内総生産(GDP)を2021年度に600兆円にまで引き上げるという。また、政府の経済再生シナリオは依然、名目3%、実質2%の経済成長を前提にしている。GDPでいえば、問題なのはその量ではなく、企業所得が増えても家計所得が増えない構造そのもの、すなわちGDPの質こそ問われるべきだ。また、この20年間、名目経済成長率は年平均0.1%にも届いていない中、名目3%成長など、あまりに根拠のない数字だ。

 それだけではない。人口減少社会に突入し、少子高齢化が進む現状において、旧態依然の経済成長モデルに固執していること自体が誤りだ。いま必要なことは、「働きたい人が安心して働ける社会」「学びたい人は誰でも学ぶことができる社会」の実現をめざし、その結果として経済が少しでも成長できるようにすることではないか。その意味で、社民党としては「雇用」「賃金」「子育て・教育」の質の充実を3本の矢としたい。

 雇用では、雇用契約の原則を期間の定めのない直接雇用=正社員とし、短時間雇用を希望する人には、同一価値労働・同一賃金を保障すること。

 また、過労死ラインの月80時間超残業をしている社員が存在する企業が、全体の22.7%に上る社会の姿は異様だ。1人当たり年間173時間(14年度、経済協力開発機構=OECD=統計)という残業時間に上限を設け、仮に1850時間程度に年間労働時間を収めれば、正社員を300万人増やすことができる。しかし、安倍政権が進める派遣労働の利用制限の撤廃、解雇の金銭解決、労働時間規制の緩和は、明らかに、これに逆行している。

 最低賃金の引き上げも急務だ。とりわけ、都道府県によって時給で200円以上の格差が生じている地域別最賃を全国一律制に改めることも検討課題である。また、賃金格差は正規・非正規間の問題にとどまらない。男女間格差も当然問題だが、焦点をあてるべきは企業規模間の格差だ。この点、大企業と中小企業の間の適正取引を徹底し、中小・零細企業がしっかりと所得を得られるような政策が問われている。

 最後に子育て・教育だが、政府の待機児童解消に向けた緊急対策は、課題とすべき保育士の処遇改善や保育の質を素通りしている点が問題だ。また教育機会の格差は、将来にわたって、格差を拡大する。

 日本の教育への公的予算は6年連続でOECD加盟国中、最下位。とりわけ、高等教育では、費用の7割が自己負担で、加盟国平均の2倍の数字だ。教育予算の大幅増や高校授業料無償化制度の復活、国立大学の授業料値下げや給付型奨学金制度の創設など、社会全体が教育を支える方向に転換できれば、それこそ、出生率の向上も期待できるはずである。

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 15日は日本のこころを大切にする党を掲載します。

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【プロフィル】吉川元

 よしかわ・はじめ 社民党政審会長、副幹事長。衆院文部科学委員、総務委員。1990年、神戸大学経済学部を中退して旧日本社会党に入党。社会新報記者、衆院政策秘書などを経て2012年10月の衆院選で比例代表九州ブロックから初当選。当選2回。49歳。香川県生まれ。