税収増「果実」恒久財源なるか 首相「13兆円」主張 上ぶれ幅鈍化も

 

 安倍晋三首相は社会保障の充実策や目玉政策「ニッポン1億総活躍プラン」を実現するための財源に、税収が自然に増えた「アベノミクスの果実」を活用する考えだ。現政権に入り景気回復で法人税収などが増え、税収は大幅に増加した。ただ、このところの円高などで企業業績が伸び悩み、増収ペースが落ちる可能性も浮上。社会保障などを支える恒久財源として税収増を活用できるかは議論の余地が残る。

 国と地方の税収は、現政権が発足した2012年度予算の78.7兆円から16年度は99.5兆円に拡大。

 増えた21兆円から、14年に消費税率を引き上げた分の8兆円を除く13兆円を、首相はアベノミクスで所得税や法人税が増えた分と主張する。

 所得税が増加した背景には、政権の呼びかけで企業が積極的な賃上げを3年連続で実施したことがある。法人税も円安で企業業績が改善し、大幅に増えた。

 ただ法人税の一部は、リーマン・ショックで打撃を受けたトヨタ自動車や、巨額の不良債権を処理した大手銀行グループが累積損失を解消し、納税を再開した影響も大きい。

 今後は企業の納税再開効果が一巡するほか、円高の進行などで企業の増益ペースが今期以降に鈍りかねず、税収は伸び悩む可能性がある。

 現政権の発足後、国の税収は決算ベースで当初見込みより2兆円程度の上振れが毎年度発生してきた。これは主に債務返済にあてられているとされる。しかし、ある経済官庁幹部は「今年度以降は数千億円程度の上ぶれにとどまるかもしれない」と指摘する。

 首相は増収分を活用し、保育所運営費支援(必要財源1000億円)や、保育士・介護士の処遇改善(2000億円)に充てたい考えだが、財源のやりくりは難航することも予想される。