韓国、「本格和食」じわり浸透 グルメブーム追い風、料理学校も人気

 
ソウルの「ナカムラアカデミー」で和食を学ぶ生徒ら=4月(共同)

 韓国で本格的な和食が徐々に浸透している。和食を専門的に学んでいない経営者が「日式(日本式)」を掲げる飲食店も依然あるが、訪日観光客の増加により、韓国人の目や舌は肥えてきている。グルメブームを追い風に、だしの取り方や魚のしめ方など「本物の和食」を伝授する料理学校にも生徒が集まる。

 ソウル市の居酒屋「花伝」は、日没前から刺し身などをさかなに日本酒を楽しむ客でにぎわう。辻調理師専門学校(大阪市阿倍野区)で学んだ鄭鎬泳社長が2012年に開業。同校を出た韓国人の後輩らが、独立まで修業する場にもなっている。

 在韓日本大使館がまとめた資料によると、韓国で和食を提供する飲食店は03年の約5000店から13年には約7500店に増加した。鄭社長は、これまで「日式」は韓国の食文化に合わせて10種類近くの無料の突き出しを提供したり、我流の料理を出したりする店が多かったが、最近は「焼き鳥店や日本酒バーなど専門化、本格化が進んでいる」と話す。

 中村調理製菓専門学校(福岡市中央区)のソウル分校「ナカムラアカデミー」では今春、日本料理専門コースに入った生徒数が例年の十数人から定員いっぱいの22人に増えた。

 同アカデミー関係者によると年齢は20~60代で、開業を目指す人から自宅で作って楽しみたい人まで目的もさまざま。韓国では「深夜食堂」のリメーク版や「孤独のグルメ」など日本発のグルメドラマが人気で、「本物」を目にする機会も増えている。

 ただ、和食に適した食材の扱いなどで課題もある。同アカデミー専任講師の山片良さんは「韓国でも良い魚は取れるが、しめ方が悪いため味が落ちる」と指摘する。韓国政府が11年3月の東京電力福島第1原発事故に伴い、日本産水産物を輸入規制しているため、日本から取り寄せることも困難だ。

 4月に行われた講義で、魚のしめ方を生徒らに説明した山片さんは「この技術が広がれば、ソウルの刺し身は劇的においしくなる」と熱弁を振るった。(ソウル 共同)