中国「犬肉祭」に逆風、世論6割超が規制支持 安価な肉が流通する背景とは?
中国・玉林市で21日、業者から買い取り、助け出した犬を抱く動物愛護活動家の男性(AP)
【北京=西見由章】中国広西チワン族自治区玉林市で21日、毎年恒例の「犬肉祭」が始まった。ここ数年は国内外から訪れる動物愛護活動家と販売業者らとの衝突が相次ぎ、犬肉を食することの是非をめぐり議論が沸騰している。今年は世論調査で規制すべきだとする声が6割を超えたとされ、地元当局がレストランに看板を隠すよう指導するなど逆風が強まっている。
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)によると、現地の市場ではオリに入れられた食用の犬を1頭あたり100元(約1600円)~160元で販売。ジャーマンシェパードなどの大型犬も売られている。
ただ、今年は犬肉祭の開幕を前に、多くのレストランや販売業者が「犬肉」の看板を隠している。毎年、食用の犬を購入して救出している動物保護団体などを刺激しないよう、地元当局が指導しているという。
こうした措置の背景には国内からも厳しい目が向けられていることがある。北京の調査会社が全国で行った世論調査結果によると、回答者の64%が犬肉祭の取り締まりを支持。
犬肉の取引を全面禁止すべきだと考えているのは51・7%、犬肉祭が中国の国際的な名声を傷つけていると認識している人は62%に達した。
また中国メディアは、安価な犬肉が流通する背景にも注目。国営新華社通信が運営する新華ネットは専門家の話として、河北省や河南省などで飼われている犬が盗まれたり毒殺されたりするなど、違法な流通ネットワークが形成されていると伝えている。
中国医学では、犬肉は「熱」を発生させる食材とされ、南部では好んで食べる人が比較的多い。湖南省出身の毛沢東も好物だったとされる。
関連記事