パナマ運河、拡張工事終了 26日開通式 世界海運変える大型船対応
太平洋と大西洋を結ぶ交通の要衝パナマ運河で、船舶の大型化に対応するための新たな水門建設などの拡張工事が完了し、開通式が26日に行われる。新運河は世界の海運の流れを変えるとみられる。日本にとっても、東京電力福島第1原発事故を受け、火力発電の燃料として需要が増す液化天然ガス(LNG)の効率的な輸送が可能になるなどのメリットがある。
従来のパナマ運河は、米国が1903年にコロンビアから独立したパナマと条約を締結し、軍事・物流の要衝として建設工事を進め、14年に完成させた。米国による管理が続いたが、99年末にパナマに返還された。
世界的に船舶大型化が進み、運河の通航量も限度に達しつつあったため、パナマ政府は2006年、総工費52億5000万ドル(約5500億円)をかけた拡張計画を国民投票で決定した。スペインなどの建設会社による企業連合が落札し07年に着工。開通100周年となる14年の開通を目指していたが、約16億ドルともされる追加コストの負担をめぐる企業連合とパナマ運河庁の間のトラブルなどで遅れが生じていた。
工事では引き続き利用される現在の水門に並行する形で、太平洋側に「ココリ水門」、大西洋側に「アグアクララ水門」の3段式の大型水門と接続航路を建設。既存航路の浚渫(しゅんせつ)や拡幅も行った。
工事によって、全長294メートル、幅32メートルが最大だった船舶の許容サイズが全長366メートル、幅49メートルまで拡大。これまで通れなかった大型船舶の約9割が通航可能となり、年間通航量は現在の約2倍の6億トン(船舶トン数換算)に増える見込み。
運河庁は、石油やガスなどのコンテナ貨物輸送におけるスエズ運河などとの競争力強化とともに、大型クルーズ船など新たな市場開拓も見込む。運河庁のキハノ長官は「パナマにとって、この100年で最も重要なインフラ工事だった」と話す。
運河庁によると、26日の開通式では抽選で選ばれた中国の大手海運会社運航のコンテナ船が最初に通過する。27日には実質的な商用船第1号として、日本郵船が運航する液化石油ガス(LPG)タンカーが通る予定だ。
日本船主協会(東京)によると、これまで通過できなかった大型船による、北米の東海岸やメキシコ湾から日本への効率的なLNG輸送が可能になる。スエズ運河やマゼラン海峡を経由していた従来のルートと比較して航行日数が20日ほど短縮され、コストを削減できるほか「エネルギーの安定的な調達先の多様化にも資する」という。(ロサンゼルス 共同)
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【用語解説】パナマ運河
中米パナマ地峡を横断し、太平洋と大西洋を結ぶ運河。全長約80キロ。船舶は海から運河に入り3段式の水門を利用して運河中央部にあるガトゥン湖の高さ(海抜26メートル)まで引き上げられ、別の3段式の水門で海面の高さまで引き下ろされて通過する。2015会計年度の発着国別の通過貨物量で日本は米国、中国、チリに次いで4位。
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