バングラテロ、進出加速の日本企業に衝撃 繊維、建設…「思わぬリスク」

 
テロ事件の遺族らを乗せ、ダッカに到着した政府専用機=3日(共同)

 バングラデシュは安価な労働力や厚みを増す中間層が注目され、日本企業は進出を加速させてきた。高い成長を期待し、繊維や建設関連の企業が増えていた。そうした国で邦人が巻き込まれる飲食店襲撃事件が発生し経済界に衝撃が広がった。

 西日本の繊維メーカーは、中国の人件費高騰などを受け代替生産拠点の「チャイナプラスワン」として首都ダッカ近郊に工場を設けた。親日的でまじめに働き繊維技術の高さも魅力的だったという。

 日本人10人を含め約2500人の従業員を抱える同社幹部は「イスラム教国だが過激派は多くないと考えていた」と、思わぬリスクに驚きを隠せない様子だった。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日系企業のバングラデシュへの進出数は2016年2月時点で240社となり約2年で約60社増加した。

 日本とバングラデシュの貿易は右肩上がりで、主な輸入製品は衣料品や履物だ。輸出はインフラ整備に活用される鉄鋼や車両が多い。

 約40年前から進出し政府開発援助(ODA)の架橋工事などを手掛ける清水建設は社員17人が同国にいる。東芝は15年に電力や交通システムの市場調査のために事務所を開設したばかりだった。担当者は「日本のように安全な地域ばかりではない」と再認識した。

 バングラデシュでは、貧困の解消などを目指す社会貢献型ビジネスも盛んだ。カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは小口融資事業を行うグラミン銀行グループと合弁会社をつくり、9店舗を運営している。担当者は「生産拠点としても重要だ」と話した。