参院選 「民共」共闘継続で対立再燃 岡田氏路線が代表選争点に

 
民進党の開票センターで、報道陣のインタビューに答える岡田克也代表=10日、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)

 民進、共産、社民、生活の野党4党は参院選で統一候補を擁立した32の改選1人区で11勝を挙げるなど一定の成果を挙げた。ただ、民進党自体は改選43から大きく議席を減らした。最大の目標に掲げた「改憲勢力の3分の2阻止」も達成できず、岡田克也代表が主導した「民共」共闘路線への評価は党内で分かれるとみられる。9月末の党代表選に向け、岡田路線の是非が争点となりそうだ。

 岡田氏は10日夜以降の記者会見やNHK番組などで改憲勢力の3分の2確保を阻止できなかったことについて「残念だ。訴える力が弱かった。代表としての責任はある」と語った。9月末までの任期満了まで代表を務めることは明言したが、次期代表選に出馬するかどうかについては「白紙だ」と述べるにとどめた。

 一方、岡田氏は成果も強調した。最後まで明かさなかった勝敗ラインは「34議席」だったと本音を告白。30議席以下とする情勢調査が多かった中で、31議席以上を得たことに手応えも感じた様子で、「3年前に比べるとかなり回復途上にある」と語った。

 岡田氏は次期代表選への出馬を「白紙」としながらも、次期衆院選の小選挙区対応については「2人も3人も出したら、与党を利するだけだ」と述べ、野党共闘を継続したいとの考えを強調した。

 ただ、民進党は旧民主党が政権を失った平成24年12月の衆院選から、今回の参院選で国政選挙4連敗を喫したことになる。今年3月に旧維新の党を吸収し、民進党に衣替えした合流効果を発揮したとはいえない。

 参院選のスローガンは「まず、2/3をとらせないこと。」と消極的な目標に終始した。岡田氏は「政権交代可能な二大政党制の確立」を政治信条とするにもかかわらず、選挙戦は安倍晋三政権への批判ばかりが目立ち、有権者の心をつかむことはできなかった。

 首をかしげざるを得ない言動もあった。公示直後の6月26日、自らの地元の三重選挙区(改選数1)で公認候補が敗れた場合、次期代表選に出馬しないと唐突に明言したことだ。

 本来ならば党代表として全国を走り回るべきところだが、選挙中に4回も地元入りする熱の入れよう。背水の陣を強調したことで三重では議席を確保することができたが、野党第一党の党首の姿勢として疑問視せざるを得ない。

 共闘した共産党の藤野保史政策委員長(当時)が6月26日のNHK番組で防衛費を「人を殺すための予算」と発言しても、岡田氏ら民進党幹部は強く批判しなかった。

 共産党も伸び悩み、一蓮托生(いちれんたくしょう)の民共連携が成功したとは言い難く、代表選の大きな争点となりそうだ。(酒井充)