スマホの実質0円“抜け道”許さず 総務省、携帯3社に是正要請へ

 
「実質0円」のポスターが姿を消したKDDIの販売店=12日、東京都内

 総務省は、スマートフォンの「実質0円」販売などを是正するガイドライン(指針)を順守するよう、NTTドコモなど携帯電話3社に月内に要請する方針を固めた。各社が主に5月以降に始めた割引キャンペーンを適用すると、スマホの価格が実質0円以下になるケースもあるためで、指針の趣旨に沿わないとして各社に是正を求める。各社は指針に応じる方針で、7月末で一部の割引キャンペーンが終了する見込みだ。

 総務省が問題視している各社の割引キャンペーンが適用されると、他社を解約した新規契約者らが、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)6s」を約400円程度の負担額で入手できる場合や、6000円程度が還元される場合もある。本来、指針は他社から他社へ乗り換える人への過度な割り引きを是正するものだったが、各社は指針の“抜け道”を狙ったキャンペーンを展開している。

 なぜ、抜け道的なキャンペーンを展開できるのか。指針で総務省は、他社を解約して新たに新規契約する「解約新規」は、実質的に番号持ち運び制度(MNP)利用者と同じとして、行き過ぎた割り引きを是正する対象としている。ただ、新規契約にはスマホを2台所持する場合など「純粋新規」も含まれるため、各社が「純粋新規を対象にしたものだ」と主張すると、指針の適用外になる可能性があるからだ。

 総務省はこうした各社の主張に対し、「キャンペーン対象の新規契約者は解約新規が多く、キャンペーンは是正の対象になり得る」との指針の解釈を月内に通知する。

 携帯会社側からも「指針の解釈を曲解しているキャンペーンもあるようだ。品が良くないものは総務省に訴えていきたい」(幹部)との声も出ており、自粛の方向でキャンペーンの幕引きを図るとみられる。

 ■携帯料金の見直しをめぐる動き

 2015年9月 安倍晋三首相が携帯料金負担軽減を高市早苗総務相に指示

     10月 指示を受けて、総務省が有識者会議の初会合を開催

     12月 有識者会議が携帯3社に割安プランなどを求める報告書をまとめる

         高市総務相が携帯3社社長に要請

 2016年1月 携帯3社が割安プランや販売奨励金の是正などを総務省に報告

      3月 総務省が端末購入補助の適正化に関する指針を策定

      4月 指針の適用開始、総務省がNTTドコモとソフトバンクに行政指導

         総務省がKDDIに注意

         ドコモが長期利用者を対象とする割引拡充を発表

      6月 携帯3社の新料金プランが出そろう