米国のTPP承認に暗雲 共和党大統領候補に撤退派トランプ氏
米大統領選の共和党候補に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の撤退を表明するドナルド・トランプ氏が正式指名され、TPPの承認手続きに暗雲が立ち込めている。民主党の候補指名を確実にするヒラリー・クリントン前国務長官もTPP反対を表明し、党内でも撤退論がくすぶる。ただ、大統領候補者が現政権が推進する通商協定への見直し論を展開し、その後に撤回する例が過去に散見され、日本政府内には楽観的な見方もなお強い。
実際、オバマ米大統領とクリントン氏が激突した、2008年の民主党候補者指名争いでは、両者が北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを表明。だが、その後はオバマ氏は大統領、クリントン氏は国務長官にそれぞれ就任したが、再交渉論は完全に鳴りを潜め、逆にTPP推進へとかじを切った。
また、1992年の米大統領選では、ビル・クリントン氏はブッシュ大統領が交渉を進めていたNAFTAに反対していたが、当選後は推進派となり、NAFTAを成立させている。
こうした過去の経緯を踏まえ、政府内には「大統領選での候補者の発言は、相当割り引いて考えなくてはいけない」(経産省幹部)と指摘する声は多い。
佐々江賢一郎駐米大使も15日の記者会見で、米議会のTPP承認手続きについて「悲観していない」と述べ、オバマ大統領が目指す年内の手続き完了に期待感を示している。
今回の大統領選でも、トランプ氏とクリントン氏の両候補者のTPP反対論に当初の勢いはない。18日に示された共和党の大統領選に向けた政策綱領では、TPPには直接言及せず、民主党の綱領も「TPPの議会採決阻止」を盛り込まない方向で調整しており、TPPの早期承認の可能性を残している。
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