AMEDの役割と戦略(中)

生かせ!知財ビジネス
「大学などの研究者の出願意識を変える必要がある」と語るAMED知的財産部長の天野斉氏=東京・大手町

 ■ITで企業と大学をマッチング

 文部科学、厚生労働、経済産業の3省に分散していた健康・医療関連研究を統合し、誕生から1年を経過した日本医療研究開発機構(AMED)。大学・研究機関と企業をどう結び付けるのか。初代知的財産部長の天野斉氏(特許庁出向)に聞いた。

 --大学や研究機関へ提供する機能で、重視しているのは

 「大学などから研究成果が出た時点で遅滞なくAMEDへ報告してもらうことで、今後の研究や特許取得、ノウハウ化の方針といった知財マネジメントに関する戦略的コンサルテーションをフィードバックする機能だ。競争的資金を配分する公的ファウンディング機関としては初の試みとなる」

 --なぜ重要なのか

 「大学などでは医療分野の知財マネジメントの専門家がまだ少ない。この1年間でAMEDへ報告された研究成果は200余件あるが、実用化へ至る戦略性がある案件は多くはなかった。単に病気の仕組みを解明した成果で特許をとっても意味はなく、具体的に病気に効く化合物まで解明した成果を特許にしないと、企業には意味がない。しかし大学などでは成果が出たら特許出願する慣行が続いてきた」

 --その背景は

 「特許出願で次の研究予算の採択評価が有利になるという研究者の誤解からだ。出願経費も無駄で誤解は正していきたい。AMEDは、知財の視点も採択に加え、特許を件数ではなく中身で評価する仕組みを試験的に導入した」

 --特許は本来、企業で使うためにある

 「通常、大学などの技術移転機関の職員は企業を回り、保有特許に関する企業の意見や情報を収集しているが、もっと早い段階で産業界の声を研究現場へ提供できれば、研究や特許出願の方向性は明確になる。このため、ITを使った企業ニーズと大学などのシーズのマッチングシステムの開発について医薬関連業界と議論している」

 --具体的には

 「大学などである段階の研究成果を入力すると、どういうシーズ(種)とすれば企業ニーズに適合するか、企業で特許化して活用してもらうには研究者はどういうデータをとっておく必要があるか、といった情報やヒントが得られるツールだ。ウェブ上で公開し、大学などと企業の両方で検索できるようにする。海外企業も対象に含めれば国際共同研究が進む可能性もある」(知財情報&戦略システム 中岡浩)