日銀、追加緩和へ難しい判断 輸出企業に恩恵、円安誘導の見方も
日銀は28、29日の金融政策決定会合で追加の金融緩和の是非を慎重に検討する。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が24日の声明で、経済成長を支えるため「金融政策、財政、構造改革の政策を総動員する」との政策方針を維持したことを踏まえて議論する。ただ、欧州に加え、米国も金融政策を維持する見通しで「日本のみが追加緩和に踏み切るのは円安誘導とみられかねず困難」との見方も出ている。
足元の金融市場は英国の欧州連合(EU)離脱決定の動揺が一服し、落ち着きを取り戻している。ニューヨーク株式市場は先週、ダウ工業株30種平均が連続して最高値を更新。日本も与党の参院選の大勝と20兆円ともいわれる大型経済対策への期待から、1ドル=99円台まで進んだ円相場が106円前後まで下がり、株式市場も1万6000円台を回復した。
市場の動きを受け、英中央銀行のイングランド銀行(BOE)は14日の金融政策委員会で追加緩和を見送り、欧州中央銀行(ECB)も、「英国のEU離脱の影響を分析するには時間が必要」(ドラギ総裁)との理由で、21日に金融政策の現状維持を決めた。
26、27日に米公開市場委員会(FOMC)が開く米連邦準備制度理事会(FRB)も利上げを見送り、主要政策金利を年0.25~0.50%に据え置く見通しだ。
こうした中で日銀が追加緩和に踏み切れば、国内輸出企業に恩恵をもたらす円安誘導のための政策ともみられかねず、数少ない緩和カードを温存するためにも、日銀内では追加緩和の見送りムードが高まっている。
一方で、市場の追加緩和期待は根強い。景気、物価の下振れリスクは依然高く、2%の物価上昇目標の早期達成のためにも追加緩和は避けられないとの観測だ。さらに政府の大型経済対策とセットで追加緩和を打ち出せば、経済重視の姿勢が演出できるなど、消費、投資マインドの向上につながるとの見方が期待を膨らませており、海外の投資家を中心に、市場には金融政策と財政政策を一体的に進める「ヘリコプター・マネー」政策を勘ぐる声もある。
追加緩和に踏み切る場合には、マイナス金利政策の強化や長期国債購入の増額などを検討することになりそうだが、市場の根強い緩和期待にどう対応するのか、日銀の黒田東彦総裁は難しい判断を迫られそうだ。(飯田耕司)
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