経済対策、28兆円超に 首相表明「景気回復軌道を確かに」
安倍晋三首相は27日、福岡市で講演し、政府が新たに策定する経済対策の事業規模について28兆円超とする意向を表明した。財政措置は13兆円で、国・地方の歳出に財政投融資を加える。8月2日に閣議決定する。一部は、その後に編成する2016年度第2次補正予算案に盛り込み、9月中旬にも召集する秋の臨時国会で成立を目指す。
講演で、首相はデフレ脱却に全力で取り組む方針を重ねて示した上で「世界経済のリスクが日本経済にマイナスの影響を及ぼさないよう万全を期していく」と強調した。同時に、経済対策を早期に実施して「しっかりと内需を下支えし、景気の回復軌道を一層確かなものにしなければならない」と述べた。
首相の発言を受け27日の東京株式市場では株高が進んだ。日経平均株価は4営業日ぶりに反発し、前日比281円78銭高の1万6664円82銭で取引を終えた。経済対策への期待感に加え、日銀が政府と歩調を合わせ、追加緩和に踏み切るのではとの観測も後押しした。
政府は経済対策の素案を26日に与党に提示。事業規模は20兆円、財政措置のうち国と地方自治体の支出は3兆円超とみられていた。ただ与党や首相周辺、経済界から上積みを求める声が噴出。首相はかねて「アベノミクスのエンジンをふかす」としており、大型対策に踏み切る。真水は6兆円前後の見込みだ。
28兆円超という事業規模は第2次安倍政権発足直後の13年1月にまとめた緊急対策(約20兆円)を上回る。当時は政府が対策を打ち出した後、日銀が緩和を行い、円安・株高が進行、企業業績も上向いた。だが、消費税増税や海外景気の減速などでその勢いは持続せず、日本経済は停滞感が強まっている。
対策は「同一労働同一賃金」実現に向けた躊躇(ちゅうちょ)ない法改正や規制改革の加速などを掲げた一方で、港湾整備などの公共事業も目立つ。一時的な景気刺激だけでは終わらない「未来への投資」(首相)の質が重要になる。
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