日銀「次回総括」に市場混乱 さまざまな臆測飛び交う
日銀は29日公表の金融政策決定会合の声明文で、「次回の会合で現行の金融緩和を総括的に検証する」と言及した。異例の一文をめぐって市場は「追加の金融緩和を示唆?」「現行の枠組みを変更?」などと混乱。さまざまな臆測が飛び交い、同日の債券市場では日本国債の利回りが中長期債を中心に急上昇(価格は急落)した。
市場参加者が注目したのは声明文の最後に加えられた「なお」で始まる段落。英国の欧州連合(EU)離脱騒動をきっかけとした海外経済の不透明感や市場の混乱を踏まえ、「2%の物価目標をできるだけ早期に実現する観点から、次回会合で金融緩和の効果を総括的に検証する」と明記した。
黒田東彦総裁はこれまで、年80兆円の「国債大量購入」、金融機関が日銀に預けるお金の一部に事実上0.1%の手数料を課す「マイナス金利政策」については正当性を主張し続けてきただけに、市場関係者からは「唐突感がある。真意が分からない」といぶかる声が上がった。
黒田総裁は同日の記者会見で「現行の政策が全くうまくいっていないことはない。ただ、大規模緩和の導入から約3年3カ月、マイナス金利の導入決定から約半年たったので、2%の早期実現のために何が必要か検証したい」と説明した。
これを受け、SMBC日興証券の渡辺浩志氏は「『出口(緩和縮小)』に向けてのガイダンス」と予想。国債の大量購入は限界が指摘され始め、マイナス金利は銀行の収益圧迫懸念から評判が芳しくない。「国債購入を柔軟化する」とみる市場参加者も多く、同日の債券市場で、長期金利の指標となる新発10年債の終値利回りは前日より0.1%高いマイナス0.18%まで上昇(価格は下落)した。
これに対し、一部のエコノミストは「今回の“小粒”の追加緩和で投資家が失望感を抱かぬよう、追加緩和に含みを持たせた」と指摘した。(藤原章裕)
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