韓国、最低賃金めぐり論争激化 時給600円…金額や経緯に不満の声

 

 韓国は、来年の最低賃金をめぐる論争が激しさを増している。現地紙コリア・タイムズなどによると、7月に政府と労使の代表らで構成する最低賃金委員会が前年比7.3%増の時給6470ウォン(約600円)と決定したものの、金額や決定に至る経緯をめぐって不満の声が上がっている。

 来年の最低賃金をめぐる議論は、最低でも1万ウォンを求める労働者側と、人件費が増加すれば経営を維持できなくなるとして据え置きを求める経営者側の主張が真っ向から対立。議論が平行線をたどったまま、当初の決定予定日だった6月28日を過ぎた。

 そうしたなか、7月16日の会議で労働者側の代表9人と中小企業経営者の代表2人が抗議のため退席したところ、与党セヌリ党の代表が採決を主導し、来年の最低賃金の金額が時給6470ウォンに決定した。

 与党幹部は、前年比7.3%増は昨年の8.1%増には届かないものの限度ぎりぎりの上げ幅と説明し「現在の経済情勢を考えれば不要な対立を避け、協調して経済再生に取り組むべき」と述べ、労使双方に決定を受け入れるよう促した。

 しかし、この決定を受けて労働組合などは即座に、労働者の心情と生活を無視したものだとする声明を発表。委員会の決定は不意打ちであり乱暴であると批判し、大規模な抗議活動を予告した。

 また、経営者側からも決定に対する不満の声が上がっている。経営者団体の韓国雇用者協会が中小企業にとっては厳し過ぎる水準の賃上げだとの見解を示したほか、中小企業の経営者団体の幹部は、厳しい経営を強いられている実情が考慮されていないと主張。「労働者に支払う賃金が捻出できないからといって犯罪者扱いされるのは心外だ」と述べた。

 来年の最低賃金は今後、調整期間を経て5日に最終決定するという。景気後退や所得格差の拡大など経済的な課題が山積するなか、朴政権は最低賃金をめぐって増大する不満への対処も求められている。(ソウル支局)