「汚れた金メダル」元馬軍団の王軍霞 23年ぶりに世界記録を破られ心情吐露
リオデジャネイロ五輪の陸上女子1万メートルで、アルマズ・アヤナ(エチオピア)に世界記録を破られた中国の王軍霞さん(43)が13日、「陸上界で最も汚れた記録の一つ」と揶揄(やゆ)されてきた23年間の心情を、中国メディアに吐露した。
現在、米コロラド州デンバーに住む王さんは、記録が破られるのは「時間の問題だった」とした上で、「これほどの長い時間、私がどんな気持ちだったか分かりますか?」と問いかけた。
王さんは1990年代に馬俊仁コーチの指導の下、陸上女子中長距離界を席巻した「馬軍団」のエースだった。1993年に、女子1万メートルで29分31秒78の世界記録を打ち立て、「東方の神鹿」と称された。
しかし、次々と世界記録を更新した馬軍団には、当時からドーピング疑惑がつきまとった。国家ぐるみのドーピングを疑われた中国オリンピック委員会は、2000年シドニー五輪の代表団から馬軍団の選手を含む27人を外し、トカゲの尻尾を切った。
最初は馬軍団をもてはやしていた世間も、王さんの記録がドーピングの“産物”と白い目を向けるようになった。世界記録が破られたことは、王さんの記録が人間離れしたものではなかったことを意味する。
「記録を突破してくれて感謝している。20数年前、私が成し遂げたことは神話なんかじゃなかった。私に速く走る能力があったことを証明してくれた。20年以上、記録を破ってくれる選手を探していた」と語った王さんは同時に、低迷が続く中国陸上界への不満を隠さない。
「長い間、人々が私をねたましく思って嫌い、罵ってきたことを見れば、難しい。われわれの民族は自信を失い、自分を信じていない。われわれは23年前に記録を作ったのに、信じないし、研究しないし、開発も利用もしない」
昨年、王さんらが現役時代、馬軍団の組織的ドーピングを告白した手紙の存在が明るみに出た。王さんらは、スポーツを国威発揚に利用しようとする国家の愚行によって、自らの才能や努力までも否定された被害者だった。
関連記事