ジェネリック農薬を拡大 JA全農、最大10種類追加開発へ
全国農業協同組合連合会(JA全農)は17日、開発費を抑えた割安なジェネリック農薬(後発薬)について、今後3~5年で最大10種類程度を追加開発する方針を明らかにした。農薬の商品化に必要な成分登録の取得数を現在の2種類から大幅に増やす。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で輸入農産物が増え、国内農家の経営が厳しくなる恐れがあり、安い生産資材の提供拡大で農家の負担軽減を目指す。
ジェネリック農薬は欧州連合(EU)やアジアなど海外では一般的に利用され、韓国では農薬の登録数全体の3割程度を占める。しかし日本では規制が厳格で、登録前の安全性試験などに新薬開発と同程度の多額な費用がかかるため普及せず、農薬価格が海外に比べて高止まりしている大きな要因となっている。
農薬や肥料などの資材価格の引き下げに関しては、自民党の「農林水産業骨太方針策定PT(プロジェクトチーム)」でも議論されており、今秋に策定される農業骨太方針の柱の一つとなる見通し。このためJA全農は、農林水産省に規制緩和を要請するとともに、大手農薬メーカーとも提携しながらジェネリック農薬の開発を本格化させる方針だ。
具体的には、現在登録を取得している野菜や果樹など園芸作物向けの殺虫剤と殺菌剤の2種類に加え、水稲向けの農薬や除草剤も開発。政府の規制緩和が実現すれば、今後3~5年で5~10種類程度の登録を追加取得して商品化する計画で、新薬に比べて3割程度の価格引き下げにつながると見込んでいる。
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【用語解説】ジェネリック
新薬の特許期間や開発データ保護期間を過ぎた後に、同じ有効成分を使って製造する後発の製品。新薬に比べて研究開発にかかる時間と費用が少なくて済み、販売価格を安くできる。人に投与する医薬品では高齢化で医療費が膨らむ先進国をはじめとして世界各地で需要が広がっている。農薬でも欧州連合(EU)や韓国、台湾などで普及している。
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