市場は「100円割れ」の円高定着を懸念 米利上げ見通せず、日銀金融緩和策は限界か
外国為替市場では、ドル高要因となる米国の早期追加利上げが見通せず、ドルが買われにくい裏側で円が買われやすくなっており、当面は円高基調が続くとの見方が多い。
英国の欧州連合(EU)離脱問題に伴う市場の混乱は落ち着きつつある。米国の株価指数は最高値圏にあり、米原油先物相場は約1カ月ぶりの高値で推移。投資家がリスクを取りやすい状況にあり、本来なら、比較的安全な資産とされる円は売られやすいはずだ。
だが、ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「市場の関心が米国の金融政策に一段と向かっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げに前向きな姿勢を示さない限りは、ドルが買いづらく、円高基調は変わらないだろう」と指摘する。
円は16日に一時1ドル=99円55銭まで急伸したが、FRB高官が9月の追加利上げの可能性に言及したと伝わるなどして17日に一時1ドル=101円台をつけた。だが、追加利上げを急がないと受け止められた7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、円買いドル売りが再加速した。
昨年までの円安・株高の“立役者”だった日銀の金融緩和策も、限界が意識されている。
日銀は9月の金融政策決定会合で緩和策を総括的に検証するが、「市場の予想を大きく上回る対応はもはや困難で、円安材料としては期待できない。むしろ、失望の円高に注意が必要だ」と上野氏は語る。
今年のこれまでの1ドル=100円突破局面は、英国民投票でEU離脱派が勝利した6月24日や、米雇用統計の発表直後に円相場が乱高下した7月8日のように、短期的な現象にとどまっていた。これに対して、足元では1ドル=100円を挟んだ円高水準が続いている。
三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「1ドル=100円を超す円高水準が定着する可能性が出てきた」としており、市場関係者は警戒を強めている。(森田晶宏)
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