フィリピン大統領、「パリ協定尊重せず」で波紋 独自の環境政策訴え
フィリピンは、ドゥテルテ大統領が気候変動に関する国際協定「パリ協定」を「尊重しない」と発言し、話題になっている。協定によって温室効果ガスの排出削減などで制約を受けるより、独自路線の環境対策を講じつつ工業化を進めたいとの考えだ。大統領の発言に対し、開発と国際協調は両立できるなどの声が上がっている。現地紙マニラ・タイムズなどが報じた。
パリ協定は昨年12月に締結された国際的な合意で、195カ国・地域が参加、フィリピンも前アキノ政権が署名した。世界の気温上昇を産業革命以前から2度以内に抑えるために二酸化炭素など温室効果ガスの排出を削減することなどを定めた協定で、排出量の55%を占める55カ国が批准すれば発効する。
ドゥテルテ大統領は、産業の発展や、工業化を急ぐ過程で環境を破壊してきたのは先進諸国だと主張。これからのフィリピンが国際協定によって活動を制限されては発展が進まないとして、議会に協定の内容と効果を改めて検討するよう求めた。
これに対し、環境天然資源省の元高官は、協定で課される義務は各国の事情に合わせたものになるとし、協定を推進すべきだとの見解を示した。国民の健康を守りつつ大規模な工業化を実現するのが課題であり、外国からの投資や経済支援を求めるためにも協調路線を進むべきであるとの考えだ。
また、前アキノ政権で経済特区庁(PEZA)の長官を務めたデ・リマ氏も「工業化と気候変動に対する国際協調は両立できる」と述べた。同氏は経済援助や技術流入のみならず、災害対策の能力向上に対する支援を受けるのも容易になるとし、大統領に再考を求めた。
もっとも、ドゥテルテ大統領も環境に配慮した経済成長を目標に掲げており、環境問題に対してはむしろ関心が高いとみられている。パリ協定についても、7月に米国のケリー国務長官と会談した際には「すべての締結国に公平であるなら」としたうえで、参加に含みを持たせた。
極端な発言が議論を呼ぶことの多い同大統領は今後、どのような環境政策を打ち出していくのか、協定への参加問題も含めて注目を集めていきそうだ。(シンガポール支局)
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