消費停滞、デフレ再突入も 若者・子育て世代、将来不安で節約
消費現場にデフレの影が忍び寄ってきた。4~6月期の国内総生産(GDP)に表れた景気の停滞や、消費者の節約志向を背景に、外食から高級ブランドまで値下げの動きが広がっている。政府は家計支援を含む経済対策を今月まとめたが、若者や子育て世代の将来不安は根強く、GDPの約6割を占める個人消費が回復に向かう道筋はまだ見えない。
◆外食もブランド品も
名古屋市北区のラーメン店「下町の空 名北店」。「餃子一皿99円」との大きな看板が目立ち、このギョーザを目当てに土日は行列ができる。家族で訪れた男性会社員(43)は「子供がギョーザ好きなので、この値段はうれしい」と話した。
愛知、岐阜両県でこの店をチェーン展開するエコ・シンク(岐阜県大垣市)の担当者は「ギョーザだけで利益を出すのは難しい」と説明。激安商品で来店のきっかけをつくろうという戦略だ。
「10分100円の飲み放題」を打ち出したのは、ファミリーレストランの「フォルクス」。例えばビールやワインなどを1時間飲み続けても600円という安さ。「最近は(出費を控える)デフレ期のような動きがある」と、運営会社アークミール(東京)の担当者は背景を明かした。
値下げは高額品にも及ぶ。大塚家具は10日から約3600品目の価格を最大25%下げた。大塚久美子社長は、父・勝久前会長との経営権争いに勝ったが、財布のひもが固い消費者には苦戦している。円高を背景に、フランスの「カルティエ」に続いて、スイスの高級腕時計メーカー「IWC」も値下げを決めた。
◆色あせる楽観論
4~6月期の実質GDPでは、個人消費が前期比0.2%増と足踏みが続いた。「株安で消費者心理が悪化した」(エコノミスト)こともあり、「賃上げやガソリン安で次第に消費は上向く」という政府の楽観論は色あせた。
デフレ期には値下げ競争で、外食や流通業界は泥沼の消耗戦に突入した。その再来を恐れ、値下げ以外の手段で集客を探る動きもある。牛丼チェーンの吉野家は、東京・恵比寿に「居心地の良さ」を重視したカフェ風の店をオープンし、若者層の開拓に懸命だ。
若者の節約姿勢が「消費全体の重しになっている」と指摘するのは、日本総合研究所調査部の下田裕介氏だ。総務省の統計を基に、年齢層別に手取り収入に占める消費支出の割合を、2004年と14年で比べたところ、29歳以下の世帯は81.2%から75.4%へ低下していた。下げ幅は年齢が低いほど大きく、若者が支出を切り詰めていることが裏付けられた。
同様の問題は政府も認識している。16年度の経済財政白書では、若者や子育て世代の節約姿勢の理由として「将来も安定的に収入を確保できるのか、老後の生活設計は大丈夫なのかといった不安」を挙げた。
安倍政権は、非正規雇用が増えている実態を踏まえ「同一労働同一賃金」などで賃金底上げを目指すが、こうした改革に経済界は慎重で、最終形ははっきりしない。
低所得者に1万5000円を支給する経済対策の施策についても、日本総研の下田氏は「一時的な措置であり、将来不安は払拭できない」と指摘。歳出改革による医療・年金制度の安定化や、予算面で現役世代の支援を手厚くしていく方策が不可欠と提言している。
関連記事