日銀総裁、マイナス金利に深掘り余地 国債購入柔軟化に含み

 

 日銀の黒田東彦総裁はフジサンケイビジネスアイのインタビューで、「マイナス金利」の一段の深掘りは可能との認識を改めて示す一方、市場で噂されている年80兆円の国債購入量の柔軟化については「(9月の)総括的な検証を踏まえる」と含みを持たせた。検証に合わせ、金融政策の軌道修正に踏み切る可能性もありそうだ。

 仲介機能損なわず

 「欧州のいくつかの中央銀行が導入しているマイナス金利の程度は日銀より大きい。技術的にはさらに引き下げる余地があることは間違いない」

 日銀は半年前の今年2月、民間の銀行から預かるお金の一部に事実上0.1%の手数料を課すマイナス金利政策を導入した。

 市場金利が大幅に低下する中、銀行の貸出金利と預金金利の差である利ざやは縮小。金融庁は3メガバンクの今年度業績について「マイナス金利で3000億円程度の減益要因になる」と試算しており、市場では、深掘りは金融仲介機能を損なうとの見方も広がる。

 これに対し、黒田総裁は「日本の金融機関は十分な資本を持つ。(マイナス金利で)金融仲介機能に大きな影響が出るとは懸念していない」と反論した。

 「80兆円の国債買い入れ額に幅を持たせるかとか、具体的な話は、総括検証を踏まえて金融政策決定会合で議論する」

 日銀の今年の国債購入量は償還で消える分の買い替えを含めると120兆円。新規発行額(年30兆~40兆円)を大幅に上回るため、「来年半ばには現在の買い入れ規模を続けられなくなる」との民間試算もある。このため、国内外の市場では、国債購入量を「70兆~90兆円」などと柔軟化するのではないかとの見方も出ている。

 ヘリマネは不可能

 「総括検証を踏まえ、必要な場合には躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な緩和措置を講じる可能性は十分ある」

 市場では、金融政策を軌道修正する場合、緩和縮小と受け取られないよう、9月の会合で追加緩和に踏み切るとの臆測もささやかれている。黒田総裁は肯定も否定もせず、発言に含みを持たせた。

 「財政政策と一体的・自動的に金融政策が決まるものではない。先進国の中央銀行は政府から一定の独立性を持つ。(財政と金融の)ポリシーミックス(政策の組み合わせ)とヘリコプターマネーは区別して考えるべきだ」

 財務省は超低金利を生かして満期まで40年の国債を増発する。これに合わせて日銀が返済期限まで猶予のある超長期債の買い入れを増やせば、中銀が返済不要の資金を政府に供給するヘリマネの「第一歩」と見なされ、円安・株高を招きやすいとの歓迎論もある。黒田総裁は「金融政策と財政政策を一体のモノとするヘリマネは現行の法制度の下では不可能」と否定した。