金に投資マネー流入 米大統領選、利上げ…世界経済波乱含み
貴金属調査会社トムソン・ロイターGFMSは23日、今年10~12月の金の国際価格について、平均1オンス=1365ドルとの予測を明らかにした。米国の大統領選や利上げを受け、年末にかけて緩やかな上昇相場となる見込みだ。世界経済の不確実性が高まる中で、“安全資産”としての金に投資マネーが流入する傾向はしばらく続きそうだ。(米沢文)
米ニューヨーク市場の金先物価格の22日終値は1オンス=1337ドル。同社の予測では、2016年の平均は1279ドルにとどまるが、年後半にかけて上昇基調が強まるという。17年は1350ドル、18年は1400ドルを見込む。
金価格を見る上で、注目されるのが米大統領選の行方だ。同社のキャメロン・アレクサンダー氏は23日、東京都内で開いたセミナーで「外交経験のない共和党のトランプ氏の勝利が近づくとアジアや中東で不確実性が高まり、金が買われやすい状況になる」と分析。また、「株式の長期保有を促す税制を掲げる民主党のクリントン氏の勝利が見えてくると、金以外の資産への関心が高まり、金価格にはマイナスになる」と解説した。
米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ動向も重要な手がかりだ。金価格は利上げが近づくと下がり、利上げが遠のくと上がる傾向がある。アレクサンダー氏は「FRBは英国の欧州連合(EU)離脱決定の影響を見極めるため、次の利上げは年末近くになる」と予測する。
金以外の貴金属では、プラチナの市況も注目される。同社のプラチナの国際価格見通しは16年平均が1オンス=1057ドル、17年は1235ドル、18年は1350ドルと、金同様に上昇を見込む。
プラチナ相場を左右するのは、自動車の排ガス規制問題だ。世界のプラチナ需要の4割強は、ディーゼル車などの排ガスを浄化する触媒に使われている。同社のローナ・オコーネル氏は「独フォルクスワーゲンの排ガス不正の影響で、欧州では今後、自動車触媒へのプラチナの充填(じゅうてん)量が増えてくる」と予測している。
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