スマート住宅で大規模実証 経産省、新ビジネス創出へ予算化

 

 経済産業省は、あらゆる機器がインターネットにつながる「モノのインターネット(IoT)」技術で家電などを自動制御する「スマートホーム」を活用し、介護や労働力不足といった日本が抱える課題の解決に結びつく新たなビジネスモデルを創出する実証事業を始める。国内数百社に参加を呼びかけ、必要な制度改正も進める。24日に閣議決定する2016年度2次補正予算案に事業費を盛り込む。

 来年初めにも参加を希望する約100世帯を募集し、最新の家電やセンサーなどを取り付けスマートホームに改装。参加企業のサービスを約1年間、住民に利用してもらうことでプライバシーやセキュリティーの保護、製品の安全性確保など必要な対策を浮き彫りにするのが狙い。

 例えば家電の動きやドアの開閉で在宅かどうかを感知するシステムを作れば、留守で受け取れない宅配便の再配達を防止でき、トラック運転手などの人手不足を改善できる。ただ、プライバシー侵害の懸念もあるため、住民が来てほしい時にだけ合図を出せるようなサービスが併せて必要だ。

 スマートホームに関わる企業は、住宅や家電メーカーだけでなく、セキュリティーサービスや医療・介護など幅広い。そのため10月に開かれるアジア最大級の家電・IT見本市「CEATEC JAPAN(シーテック・ジャパン)」でマッチングイベントを実施。分野別に業種横断でグループを作った上で具体的なサービスを提案してもらう。

 経産省は各社がデータをやりとりする際のシステム構築を支援するほか、有識者会議などで普及に必要な法制度や規制緩和を検討する。20年までに実証したスマートホームのサービスを実用化するのが目標だ。

 スマートホーム事業は、アップルやグーグルなど米IT企業の参入で市場が広がっているが、民間先行で制度面の整備は遅れている。経産省幹部は「少子高齢化が進む“課題先進国”だからこそ必要なサービスや制度が見えてくる。世界に先駆けて事業環境を整え、日本発の新ビジネスを生み出したい」と指摘している。