小学校の英語教育を大幅強化へ 議論大詰め、“教科化”も期待
高論卓説今の小学生は、ゆとり教育からの脱却を目指し、授業時数1割増を盛り込んだ新学習指導要領で1年生から学んだ子供たちである。新学習指導要領が全面実施されたときに小学校に入学した子供たちが、来春、小学校を卒業する。授業時数1割増の成果が見えてくる最初の段階になった。
文部科学省の中教審(中央教育審議会)では、2020年度からの次期学習指導要領に向け、全体像の案の取りまとめ作業が大詰めを迎えている。現行の学習指導要領にさらに授業時数を増やし、小学校6年間で5785時間(現在は5645時間)の確保を目指す。6年間で140時間増。計算上はその全てが、英語教育に充てられる方向だ。現在、外国語に親しむという程度で行われている5、6年生で年間35時間の外国語教育を教科化し、年間70時間とする。また3、4年生でも、これまでの5、6年生が行ってきたような外国語活動として年間35時間行うとするものだ。
日本の英語教育の問題は数十年にわたり指摘されてきた。中高6年間、また厳しい大学受験を経てもほとんど「話せない」という問題だ。「受験英語」で文法や難しい英単語は学んでも、「話す」能力に結びつかないというのはどう考えても問題である。そこで、今後の英語教育は、高校卒業段階で英検準2級から2級程度以上の合格者を5割以上とし、「生きた英語」つまり、将来話せるようになるということを一つの大きな目標としている。
英語の小学校での教科化、つまり早期化については、賛否が大きく分かれる。語学を学ぶのなら少しでも早くに始め、“体”で覚えた方がよいという賛成派。外国語よりまずは母国語だという反対派。さらに、反対派には、語学はあくまでもコミュニケーションのツールであり、ツールによって、何を伝えたいのかという「中身」がなくては結局「話せない」という考えも根強い。
既に英語教育を行っている小学校では、1年生から、わずかとはいえ(年間20時間程度)、英語や外国人の先生に触れる活動を取り入れているところが多い。というのも、英語のみならず、語学を生きたもの、つまり使えるようにするには、いかに生活の中で、それを必要とする状況にあるかが重要である。外国に住めばその国の言葉がいや応なしに話せるようになるのだし、日本に住んでいる外国人も日本語を話せるようになる。
学校生活全体で英語教育を意識した活動があれば、自然に英語に慣れ親しみ、英語への抵抗感が軽減、語学だけでなく外国への興味も高まっていくきっかけになる。
経済的な理由もあるが、海外留学を希望する若者の数も減少傾向にあり、日本私立大学連盟の調査では、留学経験のある学生は8.3%。海外勤務を拒否する若者も増えている。英語を早くから学ぶことは、将来の可能性や視野を広げるきっかけになることは間違いないと、私自身は考えている。
英語の教科化については、小学校での教育方法が確立されておらず、教員をどのように確保するか、教員免許の要件にも英語を含めるのかなど課題は多い。しかし、実現する価値は高いと考える。次期学習指導要領では「英語か国語か」ではなく「英語も国語も」学ぶ時数は確保されている。子供たちの将来を見据え、小学校での英語教育の教科化に期待したい。
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【プロフィル】細川珠生
ほそかわ・たまお 元東京都品川区教育委員。ラジオや雑誌でも活躍。父親は政治評論家の故細川隆一郎氏。千葉工業大理事。
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