クロマグロの緊急漁獲規制を議論 中西部太平洋まぐろ類が開幕

 
福岡市内のホテルで開かれた中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の小委員会=29日

 日本近海を含む北太平洋海域のクロマグロの資源管理について話し合う中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は29日、福岡市で小委員会を開き、クロマグロの資源枯渇を防ぐために発動する緊急の漁獲規制の議論を始めた。日本は生後1年未満のクロマグロの量が3年続けて低水準だった場合、緊急の漁獲規制を2年間実施することを提案。9月2日まで開く今回の小委員会で内容を固め、年内の正式合意を目指す。

 会議には、中国や韓国、台湾、米国など10カ国・地域が参加した。

 農林水産省の宮原正典顧問ら小委員会の議長団は、「資源を長期的に維持できるよう何らかの一歩を踏めるようにしたい」と述べ、保護強化に意欲を示した。

 日本は規制発動の目安を、1992年と93年に2年連続で非常に低い水準となった約450万匹以下と想定。ただ、2014年は368万匹ですでに提案基準を下回っており、16年まで基準が下回れば緊急ルールが発動される。

 日本が緊急漁獲規制を提案するのは、漁業継続が困難なレベルまで資源量が激減しているためだ。

 ただ、これまで未成魚を中心に漁獲規制を進めているが、資源量の劇的な回復には至っていない。有識者の間では成魚の保護も求める声があり、年齢を問わない全面禁漁も視野に入る。

 4月に北太平洋マグロ類国際科学委員会(ISC)が発表した14年の太平洋クロマグロの成魚資源量は約1万7千トンで、漁がなかった時代の資源量の2・6%であることが判明。成魚量は過去最低の1984年の約1万1千トンに近い水準で、資源量は2年前にISCが行った評価の半分という危機的状況が露呈した。

 WCPFCは2015年から30キロ未満の漁獲量を02~04年平均の半分に減らす規制を始めたが、「資源回復が顕著になった大西洋クロマグロのように成魚漁獲量の大幅削減など厳しい規制が必要」(漁業関係者)と指摘される。

 産卵に来た成魚を大量に漁獲する巻き網漁の規制の必要性も議論されている。だが、巻き網漁は日本水産など世界的な水産企業の収入源なので団体などが反発し、水産庁の腰も重い。

 国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定されるクロマグロは、秋のワシントン条約会議で商業取引の規制案が提出される可能性も高まる。(西村利也)