築地市場問題で小池都知事会見(1)「都民ファーストの視点から、3つの疑問点」

 
会見を開き築地市場移転の延期を表明する小池百合子東京都知事=31日午後、東京都新宿区の東京都庁(寺河内美奈撮影)

 11月に予定されていた東京都の築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転について、延期を正式表明する小池百合子知事の記者会見が31日午後1時半、都庁で始まった。

 《黒っぽいスーツ姿で現れた小池知事は、記者らににこやかに会釈をしながらマイクの前に立つと、一呼吸おいて会見を始めた》

 「皆さま、こんにちは。本日は知事主催の会見とさせていただいておりますが、多数のご参加ありがとうございます。まず結論を申し上げさせていただきます。11月7日に予定されております築地市場の豊洲新市場への移転については延期と致します。また、11月2日に予定されております築地場内市場閉鎖、およびその後の解体工事も延期させていただきます」

 《カメラのフラッシュが一斉にたかれる。豊洲市場の開場が約2カ月後に迫る中での延期の判断。小池知事は落ちついた口調で、なぜ延期の判断に至ったのか説明を続ける》

 「延期の決断に至りました理由ですが、かねてより私は『都民ファースト』という言葉を繰りかえし述べてまいりました。豊洲新市場への移転が、都民の皆さま、市場で働く皆さまにとって、本当に納得いくものなのか考えたからでございます。いろいろな話があります。『もう時間がない』『既定路線を走るしかない』『今更立ち止まってどうするのだ』などという強い意見があることも存じております」

 《移転先の豊洲市場の敷地では、かつて東京ガスの工場が操業していた影響で土壌や地下水の汚染が確認されたが、都は汚染物質の除去などを進めてきた。こうした状況を踏まえ、築地市場の水産関連業者たちは移転の準備を進めており、移転延期を強く望む声がある一方で、今回の延期に「土壇場になぜ」という戸惑いも広がっている》

 《また、築地市場跡地は、2020年東京五輪・パラリンピックまでに間に合わせる予定で「環状2号線」の整備が計画されている。環状2号線は、東京五輪で臨海部と都心を結ぶ役割が期待されている。特に、築地市場の跡地に整備される区間は、中央区晴海地区にできる選手村と都心を行き来する上で重要な道路となる。ただ整備計画の前提となっているのが11月の築地移転。築地移転が遅れれば、環状2号線の完成が間に合わない可能性があるとされている》

 「豊洲新市場は建設済みでございます。土壌の汚染対策をしてまいりました。都議会、業界団体の皆さんも移転については了承されてきました。また、11月7日に移転が行われないと、環状2号線が東京五輪・パラリンピックに間に合わないとも言われております。移転の準備をしている業者も混乱するではないか、という声があることも事実でございます」

 「ただ、小池都政においては既定路線、決まったことは何も考えなくてよいというやり方はございません。これまでの決定などで都民の皆さんの目線に基づいていないものは、情報を公開して、事象の経緯を明らかにして、都民の利益を第一に考えます」

 「選挙中、都民の皆さまから『豊洲新市場は安全なのかどうか』という意見がございました。そこで、立ち止まって考えるべきということで、知事就任後も立ち止まって考えてきたわけでございます。移転について、賛成、反対の意見をお持ちの方々、業界の代表者の方、長くこの課題に携わってきた方々の意見もうかがってきたところでございます」

 「豊洲新市場でございますが、使い勝手上の問題があることもうかがっております。大変な費用をかけて、大変立派な建物を建設し、土壌汚染対策も最新の技術を採用していることは、私自身、実地に見て回ったことでございます。関連部局の方々、専門家の方の意見もつぶさにみて、うかがってきたところでございます」

 「『都民ファースト』の視点から、まだ3つの疑問点が解消されていないと考えております。第一は安全性の問題です。第二は不透明な費用の増大でございます。第三は情報公開の不足であります」

 《3つの疑問点がモニターに映し出され、要点や課題について数字に基づいた説明が続く》

 《なかでも、小池氏が問題視したのは、敷地内の約200カ所で継続的に行っている地下水のモニタリング調査の完了を待たず、豊洲市場の開場を迎えることだ。これまでの7回の調査では環境基準を下回る数値ではあったが、最後の調査は開場後の11月18日に始まり、結果が出るのは来年1月ごろだ》

 「言うまでもなく、新市場は、生鮮食品を扱う場でございます。だからこそ、849億円もの費用をかけて土壌対策基本法に則して対策を実施してまいったところでございます。地下水のモニタリングに関しては、第1回が平成26年11月に行われました。なぜ、2年間のモニタリングの終了を待たず豊洲新市場を開場するのか。安全性は大丈夫かという話になるわけであります」

 「法律上の問題はないということですが、私は環境大臣の経験もございますし、生鮮食品を扱う以上、消費者の目線、都民ファーストの感覚を大切にしなければいけないと考えます」

 《モニターにはモニタリング調査結果の数字が映し出され、小池知事は厳しい表情で数字についての説明をする》

=(2)に続く