住宅リフォーム減税拡充やNISA非課税枠拡大 来年度税制改正の省庁要望出そろう
2017年度税制改正に向けた各省庁の要望が31日出そろった。待機児童問題の解消に向け、企業や個人による保育所整備を税制で優遇するなど、安倍晋三政権が掲げる「1億総活躍社会」や「働き方改革」の実現を後押しするのが柱だ。個人消費が力強さを欠く中、自動車に対する税負担軽減などの景気刺激策も課題になる。
政府・与党は年末にかけて調整し、税制改正大綱をまとめる。9月に本格的な検討に着手する所得税の配偶者控除の見直しと合わせ、女性らが働きやすい環境整備などを行う。慢性的な人手不足の解消などを通じて経済成長につなげる狙い。
内閣府、厚生労働省、文部科学省の3省は、企業が主に従業員向けに整備する「企業主導型保育所」に対して固定資産税や都市計画税などを非課税にするよう要望した。企業主導型保育所は認可保育所より設置の条件は緩いが、固定資産税などで税優遇がない。このため、認可保育所並みに税負担を軽減することで保育所不足の改善を後押しする。
また、経済産業省は、「同一労働同一賃金」に向けた非正規社員の処遇改善として、賃上げした企業に対する法人税の軽減率を、中堅・中小企業に限り賃上げ額の10%から20%に引き上げを要望。景気への影響が大きい自動車関連では、今年度末で期限切れになる燃費の良い車への減税措置の延長に加え、自動車税の初年度免除や2年目以降の税率引き下げを求めた。
ただ、自動車については、政府・与党内に三菱自動車の燃費偽装問題の発覚した年に大胆な減税を決めるのは自重すべきだとの声があり、年末までにどこまで折り合えるかは不透明だ。
2017年度税制改正要望の主な項目
【1億総活躍社会、働き方改革】
・企業が従業員向けに設ける保育所の固定資産税などを非課税(内閣府、厚労省など)
・保育所への土地貸与で相続税や贈与税を非課税(同)
・賃上げした中堅・中小企業の法人税減税を拡大(経産省)
【個人消費喚起】
・自動車税の引き下げとエコカー減税の延長(経産省)
・住宅リフォームに対する減税を拡充(内閣府、国交省など)
・訪日外国人の土産品への酒税免除(観光庁、国税庁)
【投資促進】
・少額投資非課税制度(NISA)で年投資上限60万円、非課税期間20年の長期積立枠の創設(金融庁)
・企業の研究開発に対する減税の対象をサービス開発にも拡大(経産省など)
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