「核ごみ」最終処分場の要件緩和 経産省会合 「人口密度」考慮外に
経済産業省は1日、原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に関する有識者会合を開いた。処分地として適性がある「科学的有望地」の選定基準は、地質など自然科学や技術的な観点だけで決め、人口密度などの社会的な要件を反映させない方針が大筋で了承された。
政府は会合を踏まえ、調査候補地として適性の高さごとに3色に塗り分けた日本地図を作り、12月に有望地を提示する。
国民には地震や火山など自然災害への不安が根強いため、処分場建設で安全上問題のある地域を除外するために設ける自然科学と技術の基準を重視。社会的要件を有望地に反映させれば、都市部が除外され、国民全体の問題でもある最終処分が一部の地方だけの問題になる懸念があり、一律の要件設定は見送った。
この日の会合で、社会的要件は継続的に検討することも合意。有望地の提示後、調査候補地として調査を受け入れた自治体や住民の意向を聞き、どういった点を考慮するか決める。
自然科学の要件では、火山や活断層付近のほか、隆起や浸食が大きい地域、地中の温度が高い地域などを除外し、これらに該当しない地域を原則として「適性がある地域」とする。その中でも、廃棄物の海上輸送に有利な海岸から約20キロ以内を「より適性の高い地域」に分類する。
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