米利上げ観測やや後退、円高阻止へ日銀の追加緩和観測も
2日公表の8月の米雇用統計が市場予想を下回ったのを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期の追加利上げ観測がやや後退する中、日銀は円高阻止に向けて追加の金融緩和に踏み切るとの見方も出ている。ただ、米雇用者の直近3カ月の平均では約23万2千人増で目安の20万人増を上回った。9月の追加利上げの可能性も残す「微妙な数字」のため、日銀は市場の動きを慎重に見極める。
「利上げの条件が整ってきた」
8月下旬、イエレンFRB議長は米ワイオミング州ジャクソンホールの講演で突然こう切り出した。「言及はないだろう」と“無風”を予想していた市場参加者は慌てふためき、「9月利上げ説」が急浮上するきっかけになった。
フィッシャー副議長も直後のテレビ番組のインタビューなどで、9月の利上げや年内2回の利上げの可能性を否定せず、米国景気に強気の見方を示した。これらの発言を受け、麻生太郎財務相は「いよいよ(利上げを)やらざるを得ないところまで来ていると思う」と語った。
ところが、1日発表の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が半年ぶりに好不況の境目とされる50を下回ったことで早期利上げに“黄信号”がともった。この日の雇用統計も市場予想を下回ったが、SMBCフレンド証券の岩下真理氏は「中途半端な数字。9月利上げの有無について市場参加者の意見は分かれるだろう」と分析した。
一方、日本では、物価上昇率2%を目指す日銀の金融緩和が続く。日銀は9月の金融政策決定会合で、これまでの金融緩和を総括的に検証する。
市場では、限界が近づく国債買い入れ(現在は年80兆円)を70兆~90兆円などと柔軟化する代わりに、マイナス金利を深掘りする政策変更案が噂されている。「緩和縮小(テーパリング)ではなく、あくまでも2%早期実現のための追加緩和」と言い張ることができるからだ。
日銀の黒田東彦総裁は8月下旬、ジャクソンホールでの講演で「(マイナス金利の下限までには)まだかなりの距離がある」と説明し、必要に応じて深掘りする考えを強くにじませた。日銀会合と米国の連邦公開市場委員会(FOMC)はそろって20~21日に開かれるが、日米の時差の関係から、FOMCの約半日前には日銀会合の結果が公表される。
追加緩和と追加利上げが重なれば、“相乗効果”で一気に円安ドル高が進みそうだ。しかし、追加利上げが見通せなくなれば日銀が追加緩和しても再び1ドル=100円割れの円高に見舞われる恐れもある。(藤原章裕)
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