「本丸」JA改革に踏み込めるか 農業改革“秋の陣” 自民が議論再開

 
自民党の農業改革に向けた部会であいさつする小泉進次郎農林部会長(中央左)。同右は西川公也農林水産戦略調査会長=6日午後、東京・永田町の自民党本部(斎藤良雄撮影)

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)発効を見据えた農業改革の“秋の陣”がスタートした。自民党は6日、参院選で中断していた改革議論を再開。改革の最大の焦点は、肥料や農薬など農業生産資材の価格引き下げに向け、資材流通をほぼ独占する全国農業協同組合連合会(JA全農)の構造改革だ。急速な改革を避けたいJA全農との対立も予想される中、どこまで踏み込めるか注目される。

 「生産者の事業方式を全農がくみきれなかったことに反省がある」。6日の会合でJA全農の神出元一専務は、これまでの販売体制の問題点を認め、今後の改革姿勢を強調した。

 会合では、日本の農家が使う農薬や肥料の価格が韓国より2~3倍高いとする日本農業法人協会の調査結果について議論。韓国の農業者団体が競争原理の導入でコストを抑えている実態などが紹介された。神出専務はJA全農として数千種ある農薬の絞り込みや、割安な韓国の農薬を輸入販売するなど資材価格引き下げへの方向性を示した。

 これを受け、自民党の小泉進次郎農林部会長は「(神出会長の発言は)農業の構造を動かしていく歯車が回り始めた証左だと思う」と述べ、政府・与党とJA全農が「改革認識を共有できた」と胸を張った。

 協同組合のJA全農は独占禁止法が適用されず、資材販売で高い市場占有率を維持してきた。ただ、独占に甘え経営効率化が進まず、資材はホームセンターより割高との批判もある。こうした実態から、小泉氏は改革の「本丸」をJA全農と位置付け、独禁法が適用される株式会社化も含めた組織改編にまで言及していた。

 一方、JA全農は自発的な改革をアピールすることで、与党との関係を悪化させず軟着陸を図りたい考えだ。自民党は改革の具体案を11月にまとめる方針だが、内容によっては与党農林族らの抵抗も予想される。

                  ◇

 ■秋までに具体化する農政改革の主な焦点

 ・農薬や肥料など農業生産資材や農産物流通コストの引き下げ

 ・生乳の需給調整や集荷、販売を担う指定生乳生産者団体(指定団体)制度の見直し

 ・現在、対象が一部に限られている加工食品の原料原産地表示の拡大

 ・農家からの拠出金を基に農産物の消費・輸出拡大をする「チェックオフ制度」の創設

 ・輸入品急増で農家の収入が激減した場合に収入を補償する収入保険の制度設計