中国の高齢者ツアー、業者はコスト増懸念も 国家基準施行「貸し切りは医師同行」
提供:中国新聞中国国家観光局が公布していた「旅行会社の高齢者向け旅行サービス規範」が今月1日から施行され、高齢者専用の旅行商品とサービスに関する国家基準がスタートした。高齢者の旅行市場は規模が大きいものの、実際には高齢者が窮屈な思いをすることも多い。だが、これまで関連する基準は存在していなかった。
けがや死亡事故防ぐ
高齢者が旅行ツアーに参加する場合、行動ペースの遅さをツアーガイドや他の参加者が嫌がるケースが多い。さらには一部のツアーでは、その内容がけがや死亡事故につながる危険性もはらんでいる。「規範」の登場を受け、旅行会社はこうした“常態”をなくすよう、既に行動を起こしているのだろうか。
「規範」では、高齢旅行者の定義を満60歳以上と定め、年齢による制限や参加の拒絶を行うことを明確に禁じている。同時に、ツアー企画会社が保険会社と提携し、旅行保険の対象年齢の上限について協議すること▽高齢旅行者の健康状態、通信方法、緊急連絡先を含む詳細情報の把握▽対面形式でのサイン、75歳以上の高齢旅行者を対象とした成人直系家族のサインの義務づけと付き添いの奨励を行うこと-などにも言及している。
ツアーガイドに対しては、応急救護技能や一般医療知識、3年以上のガイド経験があり、細かい気配りと忍耐力を持ち合わせていることを要求。貸し切りの航空機、船舶、観光専用列車および100人以上の高齢者向けツアーには医師を同行させることとしている。
また、高齢旅行者の身体条件に見合った観光スポットやレジャー活動などを選び、危険度の高いものや耐久力を必要とする内容をツアーに組み込まないようにとしている。さらに「高齢者がバスなどに連続して乗車する時間は2時間までとし、各観光スポットでの時間設定には余裕をもたせること、見学時間は連続で3時間を超えるのは不適切」だとし、「列車に乗る際は座席の確保と夜間や8時間超の乗車には寝台列車を用意し、なるべく下段を提供すること」などが要求されている。
自らアップグレード
こうした高齢旅行者の国家基準に対する各旅行会社の反応はさまざまで、実行難度が高く抵抗感があるとの意見もあれば、積極的に対応していくとの声も聞かれる。
広東省のある旅行会社の責任者は「『規範』の実施には観光スポットをはじめとする各方面の協力が必要となるため、しばらくは業務の流れに大きな変化は起きない」とみている。また、別の業界関係者は「『規定』の内容は推奨であって強制ではない。実行には多方面での並行作業が必要になることから、厳格に実施するとなると旅行会社にコスト面での負担がのしかかり、関連するツアーが値上がりする可能性も出てくる」と話す。
一方、オンライン旅行会社(OTA)大手、携程旅行網(シートリップ)は国家基準を上回る厳格なサービス基準に基づいた“アップグレード版”の高齢者ツアーを発表。さらに保険会社と提携し、対象年齢の上限を90歳に設定した高齢者向けの手厚い保障サービスも提供している。
同じくOTA大手の去●児網(Qunar)は今回の国家基準施行に合わせ、期間限定で高齢者が空港のVIPルームを無料で利用できるサービスを展開。同サイトを通して国内チケットを購入した60歳以上で子供の付き添いのない高齢者を対象に、10月10日まで国内86カ所の空港でVIPルームを開放している。(広州日報=中国新聞社)
●=口へんに那
関連記事