中国が「鉄鋼フォーラム」早期開催に難色 ヤリ玉避ける引き延ばし作戦?
【上海=河崎真澄】中国浙江省杭州で今月開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議の首脳宣言に盛り込まれた、世界が直面する鉄鋼の過剰生産問題の対策を討議する新たな枠組み「国際フォーラム」について、中国当局が早期開催に難色を示していることが23日、関係者の話で分かった。中国はG20議長国として宣言をとりまとめたが、国内の鉄鋼業界再編を優先する構え。議長国として宣言軽視とみられかねない対応に、日米欧は困惑している。
同フォーラム創設は日米欧などの要求を受け、7月に上海で開かれたG20貿易相会合で経済協力開発機構(OECD)鉄鋼委員会での討議に加え新たに創設する方向が固まり、首脳会議で議長国である中国がとりまとめた。フォーラムは鉄鋼生産国の生産量と設備能力の監視や、補助金など競争をゆがめる政策を禁じる措置を話し合う組織となる。
しかし、OECD加盟国と中国を含むG20の担当者が開いた準備会合で、フォーラムの初会合を年内に開くよう求めた日米欧などに対し、中国は開催時期の設定そのものに慎重な姿勢を示したという。
世界の鉄鋼過剰生産量の60%前後が中国に集中しており、フォーラムでヤリ玉に挙げられるのを避けるための「引き延ばし作戦ではないか」(関係筋)との見方がある。
中国では22日、国有鉄鋼大手の宝鋼集団と武漢鋼鉄集団の経営統合が発表されたほか、河鋼集団と首鋼集団、鞍山鋼鉄集団と本鋼集団のそれぞれの合併も検討中で、国内を3~5グループに業界再編する政府主導の動きが始まっている。
この再編過程で、いつまでにどの程度の生産削減が実現できるか不透明。ただ中国は、「鉄鋼大手の統廃合の動きを国際社会にアピールすることで、削減幅や時期で国際公約を求められる可能性のあるフォーラムを先送りしたい」(同)という。他方、議長国としてG20で宣言に盛り込んだ内容を自ら軽視する動きだとの批判もある。中国による鉄鋼の過剰生産と安値輸出に頭を痛める日米欧などはフォーラムの年内開催を重ねて求めていく意向だ。
関連記事