自動運転車の主導権で日米欧駆け引き G7交通相会合、ルール作りで協調へ

 

 先進7カ国(G7)交通相会合は、各国の自動車メーカーやIT企業が開発にしのぎを削っている自動運転車の普及に向け、国際的なルール作りで協調していくことを打ち出した。ただ、具体的な車両規格や安全規制については、今後設置される作業部会の議論に委ねられる。成長分野での主導権を握ろうと、日米欧の駆け引きも活発化している。

 「世界的なリゾート地である軽井沢で率先した議論ができた」。石井啓一国土交通相は24日の議長国会見で手応えを口にした。

 宣言では、自動運転車の早期実用化や普及のために「相互に協力し、リーダーシップを発揮する」と明記し、日米欧がこれまで個別に進めていた車両規格の国際標準化などについて、G7独自の作業部会を設置して議論を加速させる方針を確認した。また、老朽インフラについても新技術の開発・導入を奨励するなど、G7各国の知見を結集して課題解決に当たる意思を鮮明にした。

 昨年の第1回会合で見送られた協調の道筋が示された背景には、低成長を続ける世界経済に対する危機感の共有がある。

 自動運転技術は過疎地の交通アクセス改善や宅配など応用範囲も広く、今後の成長エンジンと目される。ただ、普及には同じ車をどこの国でも販売できるようにする統一的な国際ルールが不可欠だ。老朽インフラをめぐる財政対応も一国レベルでは妙案がなく、協調が遅れれば世界経済に悪影響を与える懸念があった。

 同行筋は「技術革新を後押しするという点で各国が一致した」と強調する。だが、採択された宣言にはG7が一枚岩になりきれなかった限界もにじむ。

 2025年に世界全体で5兆円の付加価値を生み出すとされる自動運転技術は「世界各国の関連企業がしのぎを削る激戦市場」(大手自動車メーカー)。G7各国はライバル同士で、車両規格の国際標準化では主導権争いが始まっている。

 実情を反映し、宣言では日欧が主導する国連での議論進捗(しんちょく)に対する表現を「歓迎」ではなく「確認」にとどめており、今後は基準作りを議論する作業部会でも、各国間の激しい綱引きが予想される。

 老朽インフラ対応をめぐる宣言で、メンテナンス投資の重要性が、新規インフラの必要性と両論併記となったのも、「経済発展=新規投資」というG7各国の成功体験が手足を縛っている証左だ。

 交通分野におけるG7の協力構築に向けて、ひとまず「方向性を示した」(石井氏)。山積する課題を解決していけるかは、各国が“お家事情”にとらわれず協調できるかにかかっている。(佐久間修志)