2%目標達成は長期戦必至 消費者物価指数6カ月連続で下落

 

 8月の主要経済統計が30日、出そろった。家計の消費支出は物価変動を除いた実質で前年同月比4.6%減、消費者物価指数(生鮮食品を除く)は6カ月連続で下落となるなど消費活動は弱含んだままだ。物価が6カ月連続で下がったのは2012年11月~13年4月以来約3年半ぶりで、日銀の黒田東彦総裁が大規模な金融緩和に踏み切る前の水準に戻った。2%の物価目標達成の道筋は険しく、長期戦は必至だ。

 総務省が発表した8月の2人以上世帯の家計調査によると、1世帯当たりの消費支出は27万6338円と、6カ月連続で減少。ことし3月以来の落ち込みとなった。天候不順や家計の節約志向が根強く衣料品や外食がふるわなかった。

 物価もマイナス圏に沈んだままだ。全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、原油安などが響き、前年同月比0.5%下落。全国の先行指標とされる9月の東京都区部の消費者物価指数(中旬速報値、生鮮食品を除く)は前年同月比0.5%下落の99.5で、7カ月連続のマイナスだった。

 日銀は21日の金融政策決定会合で、金融緩和の枠組みを変更し長短金利を目標とする新たな政策を導入。2%目標の達成に向け金融緩和を粘り強く続ける。今後、2%達成が危うくなればマイナス金利の深掘り、資産買い入れの拡大、長期金利の操作目標(現在は0%程度)の引き下げなどに動く考え。黒田総裁は「必要と判断すれば躊躇(ちゅうちょ)なく政策調整を行う」としている。

 ただ、30日に日銀本店で開かれた講演で、米国のサマーズ元財務長官は、金融機関の貸し渋りなどを引き起こさずにマイナス金利幅を拡大する余地は「それほどない」と指摘。現在の低成長の下ではインフラなどへの政府支出を増やすことが有効と訴えた。今後、物価の低迷が続いても日銀は容易に追加緩和に踏み切れないとの見方もある。

 鉱工業生産指数速報(22年=100、季節調整済み)は97.9と、前月に比べ1.5%上昇。完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント上昇の3.1%で6カ月ぶりに悪化したものの、有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ1.37倍だ。雇用情勢や生産活動は底堅く、景気の先行きは引き続き消費動向が鍵を握っている。