IMFラガルド専務理事「歴史的な転換点」 人民元SDR入りで

 

 【ワシントン=小雲規生】国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は9月30日、中国の人民元を今月1日から特別引き出し権(SDR)構成通貨に加わえるのを前に記者会見し、「中国を国際的な金融、通貨制度に組み入れる重要な一歩で、歴史的な転換点だ」と評価した。IMFは構成通貨への採用は人民元の国際化を促し、中国経済や世界経済の強化につながるとしている。

 SDRはIMFが加盟国に割り当てる準備資産で、各国はSDRを構成通貨と交換することができる。このため構成通貨には国際取引で広く使われていることや自由に取引できることが求められ、これまではドル、ユーロ、円、ポンドの4通貨だった。

 国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、国際取引の決済に使われる通貨としての人民元のシェアは8月は1・86%で、円に次ぐ5位。またIMFは中国がこれまで人民元取引の自由化を進めてきたことを評価している。IMFは人民元に国際通貨としての「お墨付き」を与えれば人民元の信頼感が増し、民間企業の人民元建てでの取引や各国政府の準備通貨としての保有が進むとみている。

 ただし金融市場では中国が不透明な人民元相場の管理を続けていることへの不満もある。昨年8月には大幅な人民元切り下げで市場を混乱させており、「中国が再び人民元を切り下げれば、保有する人民元の価値が下がる」との警戒感も強い。このため人民元がドルのような通貨としての圧倒的なシェアを誇る基軸通貨になることは当面の間はないとの見方が大勢だ。

 中国は5年に1度の構成通貨見直しの年にあたる昨年、人民元の採用を強く要請。IMFは昨年11月に人民元が要件を満たしていると判断し、今年10月1日から正式に人民元を構成通貨とするとしていた。

 1日からSDRの価値を現実の通貨に換算する際の比重は、ドル(41・73%)、ユーロ(30・93%)、人民元(10・92%)、円(8・33%)、ポンド(8・09%)となる。