日本に核燃料サイクルは不可欠 小資源国だからこそ原子力政策推進を
高論卓説高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)の廃炉を含めた見直しについて、年内には結論を出すことが、9月21日の原子力関係閣僚会議で決まった。原子力発電所で使用した燃料を再処理して、再び原発で使用するという核燃料サイクルは、原子力発電をベースロード電源と位置付け、また資源の乏しい日本にとっては、欠かせないものである。しかし一般的には、一度使用した核燃料は「核のゴミ」となるのではないかという認識であり、サイクルシステムによる再利用という知識は、ほとんどの日本人に欠落している。
使用済み核燃料から新たに生成されたプルトニウムと、燃え残りのウランを再処理し、新たな核燃料(MOX燃料)として製造。その核燃料棒は再度原発で使用することができる。既存の原発では、一部MOX燃料を使用することができる。これを「プルサーマル」という。
このリサイクル燃料は、3~4回再処理をして使用することが可能であり、それだけ、最終処分の時期を延ばすことができる。小資源国の日本にとって、一度輸入したウランを数十年にわたり活用することができることは、エネルギー安全保障の観点から非常に重要な施策であることは間違いない。もんじゅの判断いかんに関わらず、この核燃料サイクルを含まない原子力政策は、日本では有り得ないとも言える。
日本では、青森県六ケ所村に「原子燃料サイクル施設」が集積されている。下北半島の太平洋側、むつ小川原開発地区の740ヘクタールを開発し、再処理工場の他、ウラン濃縮工場、MOX燃料工場、低レベル・高レベルの各放射性廃棄物埋葬センター、使用済み燃料受け入れ貯蔵施設が立地している。周囲には、むつ小川原国家石油備蓄基地(500万キロリットル、12日分の石油の備蓄)、出力総量18万6000ワット(建設中含む)の太陽光パネル、総出力14万5000ワットの風力発電(92基)があり、一大エネルギー関連地帯となっている場所だ。
すでに使用済み燃料は国内で約1万7000トンあり、六ケ所村の使用済み燃料受け入れ貯蔵施設で保管されているものは、約3000トン、残りは各発電所内に置かれている。再処理工場は、まだ試験運転段階であるが、425トンはすでに処理をし、残りは海外で処理を行っているというのが実態である。新規制基準の適合性審査に合格することが本格稼働の条件であることは、他の原発施設と同様であるが、MOX燃料を使用する場所がなければ、再処理した燃料も蓄積されていく一方である。
「原子燃料サイクル施設」は、国際原子力機関(IAEA)の査察官も常駐し、再処理工場は24時間監視が行われている。また日米原子力協定により、プルトニウムの単独保管は禁止され、ウランと混合で保管することが義務付けられている。厳しい制約のようだが、実は、核保有国以外で、再処理が認められているのは日本だけであり、この意味は非常に重要だ。核保有国ではない日本が、日米原子力協定を結び、IAEAの24時間の監視を受けながらも、原子力政策を進めてきたことは、電力の安定供給と、さらには国家の安全保障という目的から、非常に重要な意味があるということだ。世界の原子力政策は、資源の有無や地理的要因によって判断されている。日本も、日本の諸事情に合わせ判断するならば、原子力政策を止めず、新しい技術の活用も合わせ、積極的に進めることこそが必要である。
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【プロフィル】細川珠生
ほそかわ・たまお 元東京都品川区教育委員。ラジオや雑誌でも活躍。父親は政治評論家の故細川隆一郎氏。千葉工業大理事。
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