地熱発電、25年までに720万キロワット インドネシア数値目標、開発加速
インドネシアは、潜在能力が高いとされる地熱発電の開発を加速する。エネルギー・鉱物資源省が同国の地熱エネルギーを電源とする電力構成比を現在の5%から2025年までに23%に引き上げる目標を示した。現地紙ジャカルタ・ポストなどが報じた。
同省によると、インドネシアの地熱発電の潜在的な発電容量は2900万キロワットだが、現在までに開発したのはおよそ150万キロワットとわずか5%にとどまる。同省は25年までに発電容量720万キロワットという政府目標について、潜在能力からすれば、野心的な数値とは思わないとの見解で、実現に自信を示している。
今年は、北スラウェシ州、北スマトラ州、西ジャワ州などで地熱発電の開発が進行中で、約22万キロワットが追加される。これを受けて年末の合計発電容量は約165万キロワットとなる見通しだ。
同国政府は、地熱発電開発を鉱業開発と法的に切り離して森林地帯の開発を容易にしたほか、地方政府が介在していた許認可を中央政府に一本化するなどして開発加速のための措置を講じている。
ユスフ・カラ副大統領は、石炭など化石燃料による発電は排ガスの問題があると指摘。再生可能エネルギーへの移行は国民に健康な生活を提供するための時代の流れとしたうえで「10年で720万キロワット追加の目標が実現できても、まだ潜在能力の7割以上が残っている」と述べ、将来的に地熱発電がインドネシアの電力供給にとって大きな存在となることを示唆した。
こうした政府の姿勢に対し、開発の当事者ともいえるインドネシア地熱発電協会は、地熱による電力増強は決して容易ではないとの見解を示している。同協会幹部は「開発加速のためにはまだ必要な改革がある。また、目標が大きくなれば、当然、より大規模な投資が求められる」と述べた。
同協会によると、地熱発電の開発に必要な投資額は1000キロワット当たり400万~500万ドル(約4億1000万~5億1250万円)。同幹部は、開発加速には国営電力会社PLNによる買い取り保証や発電会社が受け取る買い取り料金の価格改定、安定的な法制度なども必要だと指摘した。経済成長の加速には安定した電力供給が欠かせないとされるなか、地熱発電がどこまで存在感を高められるか、インドネシア政府の手腕が注目される。(シンガポール支局)
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