IMF世界成長率見通し、日本は上方修正 保護主義の台頭に警鐘

 

 国際通貨基金(IMF)は4日発表の世界経済見通しで、2016年と17年の世界全体の成長率を7月時点の見通しと同じ水準に維持した。16年は3.1%、17年は3.4%成長を見込んでいる。

 ただし先進国の16年の成長率の見通しは下方修正しており、米国など先進国を中心に保護主義が台頭していることにも警鐘を鳴らした。

 IMFは先進国の16年の成長率の見通しを0.2ポイント引き下げ、1.8%とした。中でも設備投資の落ち込みなどで上半期の成長率が1%台前半にまで落ち込んだ米国は1.6%と0.6ポイント下方修正。また6月の国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めた英国は17年の見通しを0.2ポイント下方修正した。

 日本については16年は0.2ポイント上方修正の0.5%成長を予測。17年は0.5ポイント上方修正の0.6%成長とした。IMFは「補正予算や日銀による追加金融緩和などの取り組みが短期的に個人消費を下支えする」とみているが、「日本の成長は弱いままだ」とも強調している。

 IMFは英国のEU離脱決定や米大統領選に向けた論戦の背景に保護主義への支持の高まりがあることについて「世界的な貿易の流れや経済の統合に不測の変化をもたらす可能性がある」と分析。先進国で低成長や低インフレが長期化するリスクにも言及した。

 一方、IMFは新興国経済に関しては16年は0.1ポイント上方修正の4.2%成長を見込んだ。インド経済が好調な上、原油などの価格が底堅くなっていることが、ロシアなど資源国経済に追い風になっているとした。中国経済については「短期的には懸念が和らいだ」としながらも、経済構造を転換させることの難しさも指摘している。(ワシントン 小雲規生)