米国、中国に経済改革断行迫る「世界中でトラブル生んでいる」 G20財務相会議
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれた米ワシントンで、米国が中国に対して市場経済化に向けた改革を迫っている。ルー財務長官は6日のイベントで「中国にはまだ改革の余地がある」と述べ、鉄鋼などの過剰生産問題への徹底した取り組みを要請した。ただし米国など先進国でも、市場経済の対局にある保護主義への支持が拡大している。中国側は市場経済の弊害が人々を保護主義に走らせていると指摘し、米国のペースには乗らない姿勢だ。
世界中でトラブル
「たとえ破壊的で一部には不人気な内容だったとしても改革をやり抜くべきだ」
ルー氏はシンクタンクでのイベントで中国に経済改革の断行を促した。念頭にあるのは鉄鋼やアルミの過剰生産問題。政府の補助金で低価格を維持する中国企業の輸出が「世界中でトラブルを生んでいる」とし、早急な対応を迫ったかたちだ。
中国に改革断行を求めるのは米国だけではない。国際通貨基金(IMF)は4日に発表した世界経済見通しで「中国は国営企業の負債や企業統治の問題への対処が前進していない」と分析。中国経済は年初の混乱からは脱したとしながらも、改革の遅れは長期的な中国経済のリスクを高めると警鐘を鳴らす。
ただし市場化を求める米国など先進国でも、市場経済への不信感は広がっている。米大統領選では「米国第一主義」を掲げる共和党のドナルド・トランプ候補が支持を拡大。英国は移民問題への懸念を背景に国民投票で欧州連合(EU)離脱を決め、EUの自由貿易圏から離れるリスクを冒した。G20会合では、これらの内向き姿勢が貿易の縮小につながり、経済成長の足を引っ張るとの危機感が共有された。
人民銀は独自姿勢
中国側にはこうした欧米の潮流を利用して、あくまで中国の流儀を貫こうという姿勢も垣間見える。
中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁は6日、IMF本部で開催されたイベントで、市場経済に基づく自由貿易体制がもたらした成長の果実が人々の間で均等に配分されていないと指摘。「反グローバリズムが人々の感情にアピールする理由になっている」と述べた。
米国などは、市場経済化や自由貿易は経済拡大を後押しするもので、配分する果実自体を大きくするとの立場。配分の公平性は別の政策課題として対応すべきだと主張する。ルー氏は「市場の力がより大きく発揮されれば、中国は自分の首を絞めずにすむ」と強調している。(ワシントン 小雲規生)
関連記事