少ない倒産、バブル期以来 16年度上期3.9%減、4217件
年度上半期の倒産件数と負債総額の推移
東京商工リサーチが11日発表した2016年度上期(4~9月)の企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は、前年同期比3.9%減の4217件となり、8年連続で低下した。金融機関が中小企業への融資で返済猶予に応じていることや大企業の業績改善が続いており、景気全体を底上げしていることなどが要因。バブル期の1990年度上期の3070件以来、26年ぶりの低水準となった。
同社は倒産件数が減少した理由について、「日銀の大規模な金融緩和が続く中、金融機関が中小企業や財務内容に改善がみられる企業への融資に前向きになっているため」と分析している。一方で、今後のリスクとして、円高の進行に伴って大企業から中小企業への発注単価の切り下げが行われることによる中小企業の業績悪化や、消費者の節約志向の高まりがサービス業や流通業に影響を与える可能性を指摘した。
負債総額は29.2%減の6626億円で2年ぶりに前年実績を下回った。負債総額10億円以上の大型倒産が前年同期比14.5%減の94件だったことや、上場企業の倒産がなかったことが寄与した。
4月に発生した熊本地震が影響した倒産は8件、人件費高騰や後継者難など人手不足が影響したものは153件あった。
業種別では、全10業種のうち製造業や運輸業など7業種で倒産件数が減少したが、サービス業などは前年を上回った。地域別では、全9地区のうち、関東や近畿など6地区で減ったが、東北と北陸、中国は増加した。
同時に発表した9月の全国倒産件数は前年同月比3.4%減の650件で月別では今年最少となった。負債総額は68.5%減の853億円だった。
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