カジノ法案推進で自民と維新がタッグ 公明は置き去り? 超党派議連が総会
超党派の国際観光産業振興議員連盟が12日、国会内で総会を開き、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案の今国会成立を目指す方針を確認した。日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事も出席し、2025年の国際博覧会(万博)の大阪誘致と絡めたIR誘致をアピール。IR推進派が多数を占める政府・自民党とタッグを組む維新とは対照的に、公明党にはなお慎重論が根強く、与党内に溝が生じている。
「臨時国会で審議を開始し成立を図る。必要な説得や調整をはかりたい」
議連会長の細田博之自民党総務会長が総会でこう挨拶すると会場は大きな拍手に包まれた。議連は共産、社民両党を除く与野党各党から約240人が参加する大所帯。この日は議連メンバーや関係者で立ち見も出るほどの活況だった。
総会ではIR誘致自治体として大阪府、北海道、長崎県が意見を述べた。トップで唯一乗り込んだのが大阪だった。松井氏は「大阪でIRと万博が実現すれば相乗効果が生まれ、関西のみならず広く日本全体に波及する」と熱弁を振るった。
松井氏や橋下徹前代表と気脈を通じる安倍晋三首相と菅義偉官房長官も、維新の万博誘致に前向きだ。首相は9月28日の衆院本会議で、維新の馬場伸幸幹事長の質問に対し「万博の誘致は日本の魅力を世界に発信する絶好の機会だ。しっかりと検討を進める」と答弁し、“相思相愛”ぶりを見せつけた。
維新は憲法改正の推進で自民党と歩調を合わせ、平成28年度第2次補正予算に賛成した。IRでも「自民-維新ライン」ができつつある。政権側にとっては、「責任ある野党」の維新と今後の政権運営で協力関係を築きたいとの思惑がありそうだ。
公明党議員も議連に名を連ねるが、山口那津男代表と井上義久幹事長のトップ2人が「ギャンブル依存症を誘発する」などと反対姿勢を崩していない。公明党はIR推進法案の共同提出に加わらなかった。
ただ、風向きは変わりつつある。井上氏は7日の記者会見で「議員立法は審議するのが基本だ」と語り、一度も行われていないIR法案の審議入り自体は容認した。これを受け、公明党の佐藤茂樹政調会長代理は12日の議連総会で「党幹部も法案の扱いは内閣委員会に任せると発言した。内閣委の理事は私だ。念願の法案が前に進むよう頑張る」と強調した。
しかし、井上氏は「依存症の問題や経済効果、社会的な意義などを議論し、国民的な理解を得る手続きが必要だ」と、なお高いハードルを課す。自民党の谷垣禎一前幹事長は公明党の姿勢に理解を示していた。IR推進派の二階俊博幹事長になり、公明党への働き掛けを強めるとみられるが、「自民-維新ライン」で今国会成立を急げば、公明党との溝はさらに広がりかねない。(千葉倫之)