廃タイヤによる“黒色汚染”問題が深刻化 不法投棄・無許可焼却…後を絶たず
提供:中国新聞自動車の保有台数が増え続ける中国では、廃タイヤの高速道路上での不法投棄や自動車整備工場内での長期放置、(定められた設備のない)無許可焼却などが後を絶たない。広西チワン族自治区南寧市で先頃開催された「中小タイヤ生産企業生態環境保護会議」では、会議に出席した企業の代表たちがメディアの取材に対し、毎年増え続ける廃タイヤによる“黒色汚染”問題を解決するためには、さらなる何重もの対策が必要だとの考えを示した。
◆事故や火災リスク
中国ゴム工業協会の調査によると、中国の廃タイヤ発生量は、2013年に2億9900万本、重量にして1080万トンに達し、毎年8~10%のペースで増加、15年には3億本を超えている。
廃タイヤの増加に伴い、その不法投棄などによる事故や汚染問題が深刻化。南寧市交通警察支隊の研究によると、同市周辺では不法投棄された廃タイヤが道路交通の安全を脅かし、交通事故の引き金にもなっている。
中国タイヤ翻修(再生)・循環利用協会の張建徳副秘書長は「中国では年間1000万トンを超える廃タイヤのうち無害化処理による利用率は60%にとどまる」とした上で「中国の自動車産業は廃タイヤの黒色汚染にむしばまれている」との懸念を示す。
広西師範大学の環境分野の専門家は「廃タイヤが戸外に大量に積み上げられると、蚊が媒介する感染症が発生しやすくなり、自然環境が悪化する。廃タイヤを燃料に使用する地域があるが、環境汚染で周辺の草木は育たなくなる」と懸念する。
さらに「火災発生リスクがあり、戸外に積み上げられた廃タイヤがいったん燃えると、構造と成分の特殊性により消火は難航し、大量の煙と有毒物質で深刻な環境汚染と人への健康被害をもたらす」と警告している。
実際、カナダのオンタリオ州で1990年に起きたタイヤ火災は、17時間にわたり1260万本のタイヤが燃え続け、住民1700人が避難。大量の油性物質が土壌に染み込み、付近の河川も汚染、計り知れない被害となった。
中国でタイヤのリサイクルが進まないのは、タイヤ再生(タイヤ表面を張り替えるなどして再利用する、リトレッド)設備を持つ企業の規模が小さいうえ、再生処理の付加価値が低いことなどが影響する。
広西牟新泰輪胎生産の莫泰安総経理は「中国の廃タイヤ利用には主に、再生ゴムの生産、タイヤ再生、加硫ゴム粉の生産があり、こうした企業の80%以上が中小企業。小規模で競争力、設備水準、技術力が低く、必要な試験装置も完備されていないため、再生品の品質が向上しない」と指摘。このため市場に歓迎されず、リサイクル率が高まらないのだ。
◆企業に再利用提言
こうした中、雲南泰雲隆輪胎の柯思達董事長、南寧伍葆電動車の張占明董事長といった主要企業のトップは「廃タイヤのリサイクル問題はエコ文明建設に大きく影響する」として、法律や業界による基準制定でタイヤリサイクルの推進を加速すべきだと提言した。
その内容は(1)生産・販売過程で廃タイヤ処理費用を徴収し、西洋諸国が導入している拡大生産者責任制の法整備を進める(2)廃タイヤの輸送、保管、処理、再利用に厳格な許可証制度を実施し、補助金支給を含めた政策によって、基準を満たした実力ある企業が積極的に廃タイヤの回収・リサイクル分野に参入するよう奨励する(3)政策によって、タイヤ再生企業が自動車の所有者にタイヤの管理サービスを提供できるようにし、タイヤの使用期間を延長、廃タイヤの発生量を削減し、再生タイヤの品質を保証すると同時に、昔ながらの違法な方法でタイヤから石油精製することを厳しく取り締まる-といったものだ。
国家ゴム・タイヤ工程技術研究センターの袁仲雪常務副主任は「米国や日本、欧州連合(EU)といった先進国のやり方も参考にすればいい」と提言。日米欧では廃タイヤの多くをセメント工場や発電所、製紙工場などで燃料として使用しており、使用効果が高いという。(経済参考報=中国新聞社)
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