中国企業がハリウッド買収 テレビ制作会社にも触手 「政府と密接関係」米議員らプロパガンダ利用懸念
【ロサンゼルス=中村将】中国一の富豪、王健林氏率いる大連万達集団による「ハリウッド買収」がじわじわと進んでいる。映画館チェーンや映画制作会社を傘下に入れたのに続き、有名テレビ番組制作会社の買収も取り沙汰される。米議員らは「プロパガンダ(政治宣伝)に利用される」として、米政府に大連万達などの投資の背景を調べるよう求めるなど、中国企業による米メディア支配に懸念が広がっている。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは9月下旬、大連万達がテレビ番組制作会社、ディック・クラーク・プロダクションズを約10億ドル(約1030億円)で買収する交渉を進めていると報じた。
ディック・クラーク社は、ハリウッド外国人映画記者協会の会員の投票によって選ばれる、優れた映画とテレビ番組を表彰するゴールデングローブ賞の番組を制作しているほか、音楽賞のアメリカン・ミュージック・アワードなどの番組も手がける。買収に成功すれば、映画界だけでなく、テレビや音楽業界にも影響力を及ぼすため、欧米メディアの注目度は高い。
大連万達は2012年に全米2位の大手映画館チェーン、AMCエンターテインメント・ホールディングスを26億ドルで買収。今年7月にはそのAMCが全米4位のカーマイク・シネマズを買収する計画を公表した。保有映画館数は全米トップにとどまらず、世界一を目指す。今年1月には「ジュラシック・ワールド」や「GODZILLA(ゴジラ)」などの制作で知られるレジェンダリー・エンターテインメントも35億ドルで買収し、映画製作分野への進出にも成功した。
米下院議員16人は9月中旬、外国の影響下にある企業がハリウッド関連企業などの買収を増やしていくことによって、プロパガンダの影響を受けかねないとする書面を米政府当局に提出。大連万達の「ハリウッド買収」を例示して懸念を表明した。米メディアによると、政府側は調査する意向を伝えた。
16人のうちテキサス州選出のジョン・カルバーソン下院議員(共和党)は今月6日に司法省にも書面を送付。「(大連万達の)王氏がこれまでに述べてきた目標は『外国人によってルールが定められた世界を変える』というもので、彼の会社と中国政府は密接な関係にある」と重ねてプロパガンダの危険性を指摘した。
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