日中が「なじみの友達」になるために 民間交流で相互理解を深めよ
高論卓説「第12回東京-北京フォーラム」が9月27、28日に東京で開催され、恒例の日中世論調査の結果が公表された。2016年の日中両国民の相手国に対する印象は、日本が「どちらかといえば良くない」を含めた「良くない」が91.6%を占め、逆に中国の日本に対する「良くない」は76.7%だった。
05年以降実施されている調査結果によると、日本の中国に対する印象が「良くない」というのは13年に初めて90%を超えてからほぼ90%前後のままだ。中国は13年に90%を超え、その後、徐々に下がっている。両国とも「良くない」がピークを迎えたのは、12年の尖閣諸島の所有権の移転がきっかけだが、その後の動きに差がある。
日本政府観光局(JNTO)によると12年に143万人だった訪日中国人旅行客は14年241万人、15年499万人と急増し、16年1~8月期も448万人と前年同期比34%の増加を続けている。
中国の日本に対する印象が改善傾向にあるのは、日本への旅行客が増加傾向にあることもその要因であろう。日本に来てみて日本人や日本文化とじかに接することで日本に対する好感度がアップし、また行ってみたいという情報がネットを中心に広まっている。
これに対し日本の中国に対する印象は、あまり改善していない。日本人の中国への旅行者が減少傾向にあるのもその一因といえそうだ。日本旅行業協会のデータによると、01年以降の日本人の中国への旅行者は07年の398万人をピークに14年には272万人に減少している。
日本人の海外旅行者数自体は、01年1622万人だったのが14年1690万人とほぼ横ばいで、旅行先に中国を選ぶ人が減っているといえそうだ。
一方、日本への中国人旅行客は増えても、日本人が中国人と接触する機会はそう増えていない。これまで中国人観光客は団体旅行が中心で個人レベルでの接触は少なかった。団体行動はどうしても目立つし、メディアの発信する中国関連情報は悪いものが多く、印象も悪くなりがちだ。
14年11月北京においてアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催された。日中両首脳の初めての会談の際、習近平主席が安倍晋三総理を迎えたときのぎこちない写真が印象に残っている。習主席は「一回生、二回熟」と話しかけたとされる。「初めて合うときは見知らぬ同士でも、2回目からはもうなじみの友達仲間」という意味だ。
残念ながら、16年9月に中国・杭州で開催された20カ国・地域(G20)サミット(首脳会議)での習主席が安倍総理を迎えたときも、なじみの友達を迎えているようには見えなかった。中国は17年秋にかけての新体制移行への政治の季節を迎えており、日中関係が外交面で好転することはあまり期待できない。
訪日中国人の観光旅行は、団体旅行から個人旅行に移りつつある。今月からは数次ビザなどの発給条件も緩和される。普通の中国人が自由に日本に来られるようになったのはここ数年のことで、これまでの交流はある部分「官」の色彩を帯びたものといえる。
個人旅行が増えるにつれ、真の意味での民間交流も増えるはずだ。「なじみの友達」としての交流を進めていけば、相互理解も深まるだろう。日本世論の印象も好転することも期待される。来年の調査結果の数字を待ちたい。
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【プロフィル】森山博之
もりやま・ひろゆき 早大卒。旭化成広報室、同社北京事務所長(2007年7月~13年3月)などを経て、14年から遼寧中旭智業有限公司、旭リサーチセンター主幹研究員。58歳。大阪府出身。
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