この国に必要なのは構想力ある政治 幸福実現党党首・釈量子

太陽の昇る国へ
会談で握手する安倍晋三首相(左)とロシアのプーチン大統領=9月2日、ロシア・ウラジオストク(共同)

 --日銀が9月21日の金融政策決定会合で「総括的な検証」をまとめました。予想されたマイナス金利の深堀りはしませんでしたが、マイナス金利の維持を含めた金融緩和策の拡大を決定しています

 物価目標達成の見通しが立たないなか、日銀としてデフレ脱却に向けた意思を示したものなのでしょうが、金融政策に手詰まり感が出ていることは明らかです。私たち幸福実現党が指摘するように、マイナス金利は資本主義の精神を傷つけるものにほかならず、また、これを導入したところで資金需要は盛り上がっていないのが実情です。

 加えて、今回の決定により、銀行による貸出金利の低下、それに伴う収益悪化を招くおそれなしとはいえないと思います。すでにマイナス金利導入の影響で、3メガバンクの2016年4~6月期の最終利益が減少したようですが、金融機関の信用が揺らげば、日本経済全体が萎縮しかねないことに注意を払うべきです。日本経済の成長に向けて、貸し出しの増加を促すためにも、金融機関の信用を高める必要があることを指摘しておきたいと思います。

 --今回、日銀は長期金利を誘導する新たな政策目標を打ち出しましたが、金融政策だけでは、物価目標は達成できないのではとの指摘もあります

 日本経済の見通しが明るくならないことには、デフレ脱却はもちろん、日本経済の本格回復は実現できません。やはり中長期的な先行きへの展望が持てる実効性ある政策の実施が肝要です。

 金融政策、財政政策、成長戦略からなる「三本の矢」を掲げ、デフレ脱却を目指した安倍政権でしたが、5%から8%への消費税増税という愚策に踏み込んだことで、アベノミクスは失敗しました。個人消費の低迷を招き、以来、実体経済には浮上の兆しが見えません。補正予算執行による景気対策を行ったところで、カンフル剤の効き目は一時的です。政府は国民が未来に希望が持てるような国家ビジョンを掲げ、そのうえで持続的成長を可能とする環境整備にこそ注力すべきです。

 --具体的には

 金融緩和は継続しつつも、5%への消費税減税をはじめ減税や規制緩和を強力に実施し、経済活動の活性化を促すべきです。また、新たな基幹産業となり得る、ロボット産業や航空・宇宙産業などの分野に大胆に投資すべきです。こうした取り組みによりジョブ・クリエーション(新たな仕事の創造)が促され、多くの雇用も生まれるはずです。

 経済活性化には、ヒトとモノの移動時間を縮める「交通革命」も重要でしょう。わが党はかねて東京-大阪間のリニア開通の大幅前倒しをはじめとする交通網の整備を訴えています。成長力の強化には、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を契機とした構造改革も欠かせません。

 --TPPについては、米大統領選で民主党のクリントン候補、共和党のトランプ候補がともに反対の姿勢を示しており、帰趨(きすう)が危ぶまれています

 米国内に自国優先の保護主義的な世論が高まっていることも背景にあるのでしょうが、米国の批准なしにTPPは発効しません。安倍首相は「再交渉には応じない」旨を述べていますが、早期にTPPを承認し、米国に向けてわが国の姿勢を示すべきだと思います。

 アジア太平洋地域を自由貿易圏とするTPPは、各国の経済成長を促すだけでなく、経済・軍事両面で膨張する中国への牽制(けんせい)にもつながるだけに、その意義は極めて大きいと思います。

 --大統領選では、トランプ氏が日本からの米軍撤退の可能性にも触れるなど、安保分野も争点となっています

 中国や北朝鮮などが国際秩序を大きく揺るがすとともに、国境を越えてテロの脅威が広がるなか、米国が孤立主義を深めれば、世界の混迷は深まるばかりです。日本としても抑止力の低下を招かないよう、米国の関与の後退は避けたいところですが、一方で、いつまでも安全保障を米国に頼り切っていてよいはずはありません。

 「強い米国」を期待しつつも、やはり、主権国家としての大原則に立ち、自主防衛体制の整備を進めるべきですし、米国の退潮も予想されるなか、アジアの大国として、地域の繁栄・平和確保に責任を果たし得る国家となるための外交・安保ビジョンを持たねばなりません。プーチン大統領の12月の訪日で、北方領土問題の進展が期待されていますが、領土返還の道筋をつけることはもとより、日露関係の強化は、対中抑止の面でも極めて重要であることを見逃してはならないと考えます。

                   ◇

【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。