地方の消費、弱さ浮き彫り 訪日客取り込みが課題に さくらリポート
日銀が17日公表した10月の地域経済報告(さくらリポート)は、東海と近畿で個人消費の判断を引き下げるなど、地方の消費の弱さを浮き彫りにした。根強い節約志向や円高による訪日客の“爆買い”の鈍化が影を落としている。特に百貨店業界は、訪日客の旺盛な消費で潤う都心店が経営の厳しい地方店をカバーしてきたが、その補完余力は弱まりつつあり、新たな対応が求められる。
「訪日客の消費は円高で客単価が下がっている」。大丸と松坂屋を運営するJ.フロントリテイリングの山本良一社長は4日の会見でこう嘆いた。
9月の全国短期経済観測調査(短観)によると、2016年度の大企業製造業の想定為替レートは1ドル=107円92銭。前回6月の調査から約3円50銭円高に修正されたが、足元の円相場の水準は104円前後とさらに円高に振れている。
円高に加え、中国政府が4月に海外で購入した高額商品に対する関税率を引き上げたことで、爆買いは沈静化。J.フロントと高島屋は8月中間連結決算で通期業績予想の下方修正に追い込まれた。
業績悪化の影響は、地方の不採算店にも波及している。今年に入って、そごう・西武と三越伊勢丹ホールディングスで閉店や今後の閉店を決めた店舗は、西武旭川店(北海道旭川市)やそごう柏店(千葉県柏市)、三越千葉店(千葉市)など計7店に上る。
ただ、さくらリポートは、リピーターの増加などで地方を訪れる訪日客数は増えていると指摘。2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、今後も訪日客数の増加基調が続く見込みで、外国人の旅行消費の景気への貢献は期待できる。
受け入れ態勢の整備やわかりやすい情報発信など、観光資源に一層磨きをかけることで、多様化する訪日客の消費を継続的に取り込むことが地方経済の課題となっている。(永田岳彦)
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