“暴言”大統領訪中、共同声明に中国世論が反発 「大盤振る舞い」も成果乏しく
【北京=矢板明夫】フィリピンのドゥテルテ大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談を受け、中国外務省が21日に発表した共同声明が、中国国内で大きな波紋を広げている。中国からフィリピンへの経済支援のメニューがずらりと並んだ一方、南シナ海問題でフィリピン側から十分な“譲歩”を引き出せなかったと受け止められているためだ。インターネット上では「私たちの税金をまた大盤振る舞いした」「対外支援法を早急に制定すべきだ」といった意見が殺到している。
共同声明には、中国がフィリピンに対し、鉄道建設などのインフラ整備やバナナの輸入再開など、貿易や投資の拡大が盛り込まれた。報じられた各項目の金額を単純に足すと、支援規模は総額2兆5000億円に上るものとなった。
両国が対立する南シナ海問題では2国間での対話を通じた解決が合意され、フィリピンが中国に歩み寄ったと受け止められている。
しかし、中国当局はつい最近まで、フィリピンに対し経済制裁を実施していただけに、フィリピンへの幅広い経済支援が決まったことについて中国では政策転換の早さに反発する声もあり、政府の対外支援に関する法整備を求める意見がネット上で多く寄せられた。
習近平政権はアジア、アフリカなどの発展途上国への支援を急増させており、各地で大金をばらまく様子は、外国メディアに「サンタクロースのようだ」と揶揄(やゆ)されたこともあった。
政府の“暴走”を制限するため、中国国内で知識人を中心に「対外支援法」の制定を求める意見が昨年から出ていた。最も有名なのは昨年末、北京理工大学の胡星闘教授が全国人民代表大会(全人代=国会)に宛てて発表した公開書簡だ。
胡氏は書簡で、中国が1950年から78年まで、ベトナムに対して巨額支援を約30年に渡って続けたにもかかわらず、同国と79年に武力衝突に発展したことや、北朝鮮に対しても毎年60億ドル規模の支援をしたのにもかかわらず、両国関係が悪化してきた例などを挙げ、「わが国の対外支援史のなかに手痛い教訓が多くある」と指摘した。
また、経済協力を名目として国有企業が海外で実施した投資も失敗を重ねており、「9割以上が赤字経営の状態だ」と指摘した。
こうした状況を踏まえ、胡氏は対外支援政策の法制定を提案。具体的に「支援金額と内容の詳細を公表」「政局不安定、または独裁国家を支援しない」「対外支援、投資が失敗した場合の責任追及」などを盛り込むことを求めている。
中国とフィリピンの共同声明の発表を受け、胡氏の提案は再び注目され、ネット上の各サイトに転載されている。
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