中西部でも中高所得層が拡大 拓殖大学名誉教授・藤村幸義

専欄

 中国では沿海部諸都市の経済成長が低迷する一方で、中西部の諸都市の躍進が目立っている。このほど、その中心都市である湖北省・武漢を訪れる機会があったが、ここの経済発展も目覚ましかった。人々の生活が格段に豊かになり、中でも中高所得層の拡大が著しい。

 湖北省全体でみると、昨年の国内総生産(GDP)成長率は8.9%と全国平均を大きく上回っており、今年上期も8%を超えている。中でも武漢は「工事中の場所が2万カ所もある」ほどの建設ブーム。市当局が率先して「夜も明るい街づくり」を演出していることもあって、ビル街のネオンは上海をも凌(しの)ぐまばゆさだった。

 中高所得層の拡大に目を付けたのが、日本の大型ショッピングセンター、イオンモールである。昨年12月、武漢の経済技術開発区に、店舗面積10万5000平方メートルの「イオンモール武漢経開」をオープンした。武漢では2番目の出店。中国全体では12の店があるが、店の規模はその中でも最大だ。

 来客数は平日が約3万5000人、週末になると7万5000人から8万人になる。同社では北京・天津、蘇州・杭州、青島、広州といった地域にも進出しているが、武漢が最も将来性があるという。

 このモールには合計270余りの店舗が入っている。価格帯は中高所得層をねらって、高めに設定している。1人当たり所得では北京や上海にかなわないが、来客者は予想以上に豊かで、それほどの差はないという。

 ライバルは「中国の不動産王」王健林氏が会長を務める大連万達集団である。武漢でも中心部に大型ショッピングセンターを開いている。同社の特徴は、ホテルや映画・テレビ、遊園地などを併設し、地域の総合的な開発を目指していることだ。

 もっとも余りに急激に全国展開してきたことから、その反動が来て、このところ営業不振に陥っている。武漢でも客足が鈍っているらしい。

 イオンモールは武漢で、来年に3番目の店をオープンの予定。武漢は広いので、都市部全体を商圏にしていくには、その後も出店を継続していく必要があるという。

 だが、武漢は自動車が好調だが、これまで牽引(けんいん)役を務めてきた鉄鋼は売れ行きが落ちている。武漢鋼鉄集団は宝鋼集団への吸収合併が決まった。イオンモールも市場規模の見通しを誤らないことが肝心だろう。